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遺跡巡りの町、サヤスチェに行く!

 2015-03-05
 フローレス発の遺跡ツアーには、ヤシャ遺跡、ナランホ遺跡、エル・ミラドール遺跡などがあります。

 最も人気が高いのはヤシャ遺跡ですが、ツアーが見つかりません。ナランホ遺跡は、2月はまだ雨季ですので道が非常に悪く、車は入れないということでした。死ぬまでに一度は行きたい究極の巨大遺跡がエル・ミラドールですが、ここに行くには最低5日間の徒歩ツアーに参加するしかありません。往復の4日間は道なきジャングルを歩くことになるため、体力が必要ですし、雨季には蚊の攻撃も激しいと聞いています。それでも行く覚悟はあったのですが、ツアー会社に聞くと「10日ほど待てばツアーが出る」という状態です。

 仕方なく、フローレスから車で南に2時間半ほどの所にあるサヤスチェという町に行くことにしました。この町の近くにあるペテシュバトゥン湖の周辺にはいくつかのマヤ遺跡があるのです。ただ、シーズンオフですから、旅行者はほとんどおらず、町に行っても遺跡に行けるとは限りません。

 実は、ペテシュバトゥン湖には2軒のリゾートホテルがあり、ここに宿泊すれば周辺の遺跡ツアーに行けるようです。貧乏旅行者の私はそういうホテルには泊まれませんので、サヤスチェに泊まって遺跡に行く方法を考えることにしました。最悪、サヤスチェを見れば遺跡に行けなくてもいいと覚悟していました。

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サヤスチェ行きのワンボックスカーが出発するサンタ・エレナの市場


 サヤスチェ行きのワンボックスカーはサンタ・エレナの市場から頻繁に出ています。途中の町で15分ほど止まりますが、ほぼ予定通りサヤスチェに到着。町はパッション川を挟んだ対岸にあり、岸辺から渡し船で向こう岸に渡ります。天気が悪いせいもあるのでしょうが、遠目に見た町の雰囲気は暗く、重く、いかにも危険そうな感じです。岸辺の汚さや、よそ者を見る周囲の男たちの刺すような視線も影響していると思います。

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パッション川の対岸にあるサヤスチェ。


 街の中心にある、雨上がりで泥だらけの坂道を上りますが、周囲の建物は古く、汚れていて、いかにも辺境の開拓地という臭いがして、落ち着きません。何匹もの大きな野良犬が歩道からこちらを見ているのも気持ちが悪いです。商店の前にいた、ショットガンを抱えた警備員らしき男性に「この辺にホテルはある?」と聞いてみました。すると、「たくさんあるよ。そこにもあるし・・・」と、路地の古びた建物を指さします。

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サヤスチェの中央通り。


 外観を見ただけで、部屋が想像できそうなボロホテルです。そこで「もう少し、いいホテルを探してるんだけど・・・」と言うと、男性は少し考えてから、「この道を数ブロック行くとホテル・セイバルがある」と教えてくれました。セイバルは遺跡の名前ですが、観光客向けという感じがします。そのホテルに行くことにしました。

 10分ほどで見つけたホテルは、新しい建物で、中庭が駐車場になっているモーテル風です。オフィスにいた若者に聞くと、部屋はバス・トイレ付きのツインで、一人なら1泊80Q(1200円くらい)と安いです。すぐ、荷物を降ろし、町の情報収集のために受付の若者と話をしに行きました。

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ホテル・セイバルの外観。

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ホテル・セイバルの部屋。


 マリオというこの若者が結構、話し好きで、私の質問にはいい加減に応えるのに、日本について、いろんな質問をしてきます。その相手をしているうちに3時間も経ってしまうほどでした。シーズンオフですから、客は一人もいませんし、誰も来ません。遺跡への行き方について、彼は「近い遺跡なら歩いて行けるよ」というのですが、その遺跡の名前が分からないのです。いずれにしろ、簡単に歩いて行ける遺跡などないことは分かっていますので、町の中心まで出て情報を得ることにしました。

  町中にはツアー会社があるのですが、シャッターが閉まっています。川べりに出てみると、渡し船は動いていますが、それ以外のボートは岸辺に係留されており、誰もいません。仮に人がいたとしても、一人で得体のしれないボートをチャーターするのは金額の問題と共に安全面の問題も出てくるため、あまり気が進みません。仕方なく、近くにいたタクシーの運転手に「セイバル遺跡には行けるのか?」と聞いてみました。すると、「今は雨季だから車では行けないよ」と言われました。乾季であれば、セイバルは車でアクセスでき、ツアーバスもあるのです。

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サヤスチェの町からパッション川が見える。


 どうやら、どこにも行けない事態になりそうです。夕刻になり、私は、茶色く濁ったパッション川と、今にも降り出しそうな暗い空を眺めながら、立ち尽くしていました。事前予想通りの展開にもかかわらず、「こんなところまで来たのに」と思うと、気分も暗く落ち込んでいきました。

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パッション川の風景。


 あきらめてホテルに戻るため町中の泥道を歩いていた時です、「すみません」と、中年の男性に声を掛けられました。私が立ち止まると、男性は「あなた、遺跡に行きたくないですか?」と言います。「行きたいですけど・・・」と応えると、「私はツアー会社の者ですが、明日のツアーに参加できる人を探しています」と言うのです。

 街角の客引きは基本的に要注意ですが、とりあえず聞いてみることにしました。男が言うには、一人の客がアグアテカ遺跡に行きたがっているが、一人で行くと600Qかかるため乗り気ではない。そこで、もう一人客を見つけて半分の300Qずつになれば彼は行くといっている、ということでした。

 思ってもみなかった、いい話です。しかも、行くのはサヤスチェ近郊3遺跡のうち、最も近いセイバルではなく、最も遠いアグアテカです。私は、「是非、行きたい」と答えました。すると男は、「では、明日、朝7時に川岸で待っている」と言って、姿を消しました。

 「え、大丈夫かな?」と思いました。もう一人の客に確認もせず、私が泊まっているホテルを聞きもせず、口約束だけで別れてしまったのです。しかし、後は男を信じてみるしかありません。


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タグ : サヤスチェ
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