マチュピチュの峰に登る!
マチュピチュ峰って何?
マチュピチュ遺跡はシーズンオフでも大勢の観光客が押し寄せます。このため、一応、入場制限を設けているようですが、よほどのことがない限り入れないことはないようです。
ただ、入場料はどんどん高くなっていて、2017年時点では遺跡の入場料が一般成人で5000円ちょっと、ワイナピチュなどに登るには別途1600円ほどが必要になります。
私は、インカ道のトレッキングに参加できなかったため、別の山登りなどを検討しました。マチュピチュ遺跡の後ろに聳えるワイナピチュ峰はすでに登ったことがあるので、徒歩1時間ほどの所にあるインティプンク(太陽の門)に行こうと思いました。しかし、旅行会社の担当者から「マチュピチュ峰はどうか」という提案があったのです。
マチュピチュ峰という山があることも、そこに登れることも知りませんでしたから、すぐ入山チケットの手配をお願いしました。聞くところでは、ワイナピチュは登山人気が高く、ハイシーズンには1か月前に入山チケットの予約が必要とのことですが、マチュピチュ峰はあまり知られていないため、直前でもチケットが入手できるそうです。
マチュピチュ村の景観
遺跡行きのバスは長蛇の列
マチュピチュ峰に登るには、午前7時から8時、午前9時から10時の2グループのどちらかを選択しなくてはなりません。チケットにその時間が記入され、遅れると入山できないそうです。
遺跡見学の時間を考えて7時からを選択しました。ただ、遺跡内の登山口に朝7時ころに着くためには、6時ころマチュピチュ村を出るバスに乗る必要があります。バス乗り場はいつも長蛇の列になるため、6時15分前には並んでおきたいと思いました。
宿泊したホテルは朝の早い客のために5時から朝食を用意してくれます。食事を終えて5時半にホテルを出ました。10分ほどでバス乗り場に着くと、聞いていた通り旅行者の長い列が道路を埋めています。しかし、中型のバスが次々と来るので、15分ほど待っただけでバスに乗ることができました。
遺跡に向かって、バスはジグザグの坂道を上り続けます。天気が悪いため、周囲の山々を雲が覆い、神秘的な感じがしました。
マチュピチュ遺跡行きのバスはきれい
雲が多くて周りの山が見えない!
30分もかからず遺跡の入り口に到着。ところが、ここも入場を待つ人達が大勢いて、入り口ゲート前の階段は埋め尽くされています。
遺跡内には食べ物の持ち込みは禁止されていると聞いていたので、私は水しか持ってこなかったのですが、入場ゲートでは特にバック内を調べたりすることはありませんでした。遺跡だけなら水でいいと思いますが、山に登る場合はエネルギー補給用の食べ物を多少は持って入ってもいいのではないでしょうか。
すでに7時近かったため、遺跡内を歩いてマチュピチュ峰登山口に向かいました。マチュピチュ峰はワイナピチュ峰とは反対側に聳えるため、途中のテラスからはマチュピチュ遺跡とワイナピチュの絶景が見られます。
遺跡の入り口前も大混雑!
マチュピチュ峰の登山口方向に広がるテラス
マチュピチュの絶景現る!
最初、遺跡はほとんど雲に埋め尽くされて見えない状態だったのですが、風が雲を払ったことでその姿を現しました。
そこにちょうど朝日が差し込み、3回目のマチュピチュで、これまでで最も神秘的で美しい光景が見られました。1回目は4月に来たので雲はそれなりにあったのですが、遺跡が包まれるほどではありませんでした。2回目は乾季の9月だったので、まったく雲がなく、神秘的な感じはなかったのです。
雲が吹き払われマチュピチュが現れた!
マチュピチュ峰登山を開始!
7時ちょうどに登山口に着きました。すでに10人ほどが待っており、ゲートが開くと小屋で登山ノートに自分の名前を記入してから坂道を登り始めました。
10分も坂を上ると、もう、嫌になりました。坂がきついし、周囲は林で景色は見えないし、ただ苦しいだけです。頂上までは2時間と聞いていましたが、これではとうてい上れないと思いました。
ワイナピチュの方は切り立った崖に付けられた道を昇っていくので、結構辛いのですが、景色が見られる楽しみがあったように記憶しています。こちらは、最初のところは景色が見える場所が少なく、インカ道の石の階段をひたすら上り続けるしかないのです。
登山口には開門を待っている人たちが・・
こんな感じの石段が延々と続いている
断崖のそばを通る石段もある
それでも、急がず、「時間が無くなれば途中で戻ろう」という気持ちで、一歩ずつ階段を上り続けました。途中、何カ所も設けられている展望台に着くと、しばらく休憩し、ゆっくり景色も楽しむようにしました。周囲は雲に覆われていて、ほとんど景色は見られませんでしたが…。
1時間半を経過するころ、山道は細くなり、崖の淵を歩くようになりました。右後方の雲の間からワイナピチュの尖った峰が突き出しているのが見えます。晴れていれば、マチュピチュとワイナピチュの絶景が見られると思います。
下の方にワイナピチュが見える!
やがて、急な坂の上に空に突き出すような展望台が見えました。「ひょっとしたら頂上が近いのか?」と思い、最後の力をふり絞るようにして登っていくと、それは頂上直下の展望台でした。結局、1時間45分ほどで頂上に到着。着いてみると、意外にあっけなく、最初に思ったほど大変ではなかったような感じです。
頂上から見た景色。下方に展望台がある
ここがマチュピチュ峰の頂上。なんも見えん
残念なのは天気です。マチュピチュ峰は標高3060mあり、ワイナピチュ峰の2720mより高いのです。晴れていれば、頂上から周囲を囲む山脈群の360度パノラマが楽しめるはずです。ところが、この時、周囲は完全に厚い雲に覆われており、景色はほとんど見えませんでした。流れる雲が時々私たちまで包み込んで、視界が失われます。待っていても雲がなくなる様子が見えなかったため、あきらめて下山することにしました。
帰り道。時々は雲が切れて景色が見えたりする
登山口には10時過ぎに戻って来ました。すでに閉められたゲート前に、到着が遅れた人がいて「ちょっと遅れただけだ、入れてくれ!」と係員に頼んでいましたが、係員は応じようとしませんでした。
雨が降って来た!!
これから遺跡をゆっくり見学しようと思ったのですが、雨が降り始めました。大勢の観光客が遺跡の屋根のある部分に固まって空を恨めしそうに見ています。私は、持っていたレインウエアを着て少し歩きましたが、防水ズボンに水が浸透するほど濡れてしまいました。しばらくしたら雨が上がるかもしれないと屋根の下で待ってみたりしたのですが、雨脚はかえって強くなるばかりです。
霧に包まれてしまった!
雨に濡れながら観光も仕方ない
一旦、遺跡外へ退避する
待っても雨は上がらない…
昼が近かったため、一旦遺跡の外で食事をして雨が上がるのを待つことにしました。遺跡の外にはホテルのレストランとスナックがあります。レストランはビュッフェ形式で4000円以上しました。そこで、スナックに行きましたが、ここにも長蛇の列。屋根付きのオープンテラスのテーブルは人で埋まっています。それでも、食事を終えて帰る人も多いので、少し待てば座ることができました。
大きなハンバーグとコーラ(両方で1300円くらい)を頼み、派手に雨漏りする屋根の下で、水滴をよけながら食事を済ませました。午後1時近くになっても、雨はやむ気配を見せません。衣服が濡れているせいもあって座っていると寒いのです。残飯をあさる野良犬同士がテーブルのそばで喧嘩を始めました。ついに待ち続けるのが苦痛になり、あきらめて村に帰ることにしました。初めて来たのならもう少し粘ったかもしれませんが、マチュピチュ峰に登れただけでもう十分という思いでした。
そうだ温泉に行こう!
バスで村に戻りホテルに着いた頃になって雨が上がりました。山の上の遺跡と村は違いますので、遺跡では雨が続いている可能性はありますが、残念な思いはぬぐえませんでした。
時間が余ったので、温泉に行くことにしました。元々、この村はアグアス・カリエンテス(温泉)という名前で、村はずれに温泉が湧いていたのです。35年前にもこの温泉に行きましたが、泥道を昇って行った所にいくつかの温泉プールを持つ貧弱な施設があり、地元の人たちが入浴を楽しんでいました。
今では坂道が整備され、山間の美しい景色を楽しみながら温泉まで行けるようになっています。
川沿いの道を上って行く・・・
温泉にはレストランや土産物屋が併設された施設もあります。日本と違って温泉には水着で入りますので、脱衣所で着替え、脱いだ服はクロークに預けます。入浴料は660円くらいです。
山に囲まれた川沿いのスペースに大小6つほどのプールが作られており、大勢の人で賑わっていました。ただし、観光客ばかりで地元の人は見当たりません。以前は、ぬるい湯のプールと熱い湯のプールがハッキリ分かれていたのですが、この施設には熱い湯のプールがありません。底に石が敷き詰められた大きなプールに人が集まっており、他と比べて少し温度が高い気がするのですが、熱い湯好きの日本人には物足りない。というか、寒くて、充分温まらないと風邪をひきそうです。
日本の温泉とは比べられませんが、清潔感もあまりなくて完全にはリラックスできないのです。それでも、大勢の人が酒など飲みながら楽しそうにお湯につかっているのはいい感じです。友達と一緒に酒を飲みながら入るなら楽しいでしょう。
温泉のプールが作られている施設
ビールなど飲みながら楽しそう
村ではピザがお勧め!?
マチュピチュ村には観光客相手のレストランがたくさんあり、ペルー料理だけでなく世界中の料理が食べられます。トリップアドバイザーを見ると、おいしいいピザを出す店が何軒も出ています。その中から特に評判がいい店に行ってみました。
ピザはマルゲリータを注文。「一人で1枚食べきれるか?」とウエイターに聞くと、ピザ焼き窯のそばまで来いと手招きし、「ほら、これくらい食えるだろう」と、焼き上がったピザを指差すのです。
大きなピザでしたが、食べられないほどではない感じです。価格は28ソレス(950円くらい)で、日本と比べれば安いです。見た感じも、味も私が知っているマルゲリータとは違うのですが、ピザ生地とチーズがおいしく、食が進みます。耳の部分を少し残しましたが、久しぶりに大満足の夕食となりました。
美味しいピザを出す洒落たレストラン
マルゲリータ?でもおいしい