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スペイン旅行記⑨ 7日目 王室礼拝堂とアルバイシン

 2019-05-30
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アルハンブラ宮殿全景

アルハンブラ宮殿のチケットが入手できない!

 
 グラナダ最大の観光スポットといえばアルハンブラ宮殿です。
 アルハンブラ宮殿は、かつてイベリア半島を支配したイスラム教徒が築いた城塞ですが、王が住んだ宮殿内部の装飾の美しさは数多いイスラム建築物の中でも抜きんでています。日本ではあまり知られていませんが、海外ではイスラムの独創的なデザインの集大成といえるアルハンブラに魅了される人が多いのです。このため、入場チケットかなり前に売り切れになってしまいます。

 以前、アルハンブラ宮殿に行ったのは、今のように人気が出る前だったため当日券で問題なく入ることができました。しかし、今回、約1カ月前にチケット販売サイトを見てみると、二カ月先までソールドアウトになっていました。
 調べてみると、当日券が窓口で少し発売されるそうです。ただ、それを目当てに並ぶ人が多いため、実際に入場券を手に入れるのは至難の業ということでした。

 この日の朝、フラメンコショーのツアーを申し込むために、ホテルの近くにある日本語情報センターという旅行代理店に出かけました。そこで、アルハンブラ宮殿のチケットが取れなかったことを話すと、責任者の方がネットで状況を確認してくれたのです。
 すると「チケットが残っています」と言うのです。すぐに、入手をお願いしました。しかし、公式サイトで申し込むため、事務所のパソコンを使って私が自分で手続きする必要があったのです。これに時間がかかりすぎて、結局、入手できませんでした。

 責任者の方から「二十枚ほど残っていたのに、あっという間でしたね」と残念そうに言われましたが、仕方ありません。キャンセルなどで突然チケットが売り出されることがあると知っていれば、もっと前に自分のスマホでサイトを確認してチケットを入手できたのではないかと思います。


スペインの歴史を物語る王室礼拝堂


 午前中は、グラナダで見逃せない場所のひとつである王室礼拝堂に行くことにしました。
 王室礼拝堂は、カトリック両王と称されるイザベル女王とフェルナンド王が眠る墓所です。この二人はスペイン史上最も重要な人物といえます。なぜなら、この二人が結婚する前、スペインという国は存在しておらず、イベリア半島はカスティーヤ王国やアラゴン王国などの国に分割されていました。それが、カスティーヤのイザベル女王の夫だったフェルナンドがアラゴンの王になることで両国が事実上統合され、スペインの基礎が築かれたのです。

 では、なぜグラナダに二人の墓があるのかといえば、1492年に起きた世界史に残る二つの事件が関係していると思います。

 この年の1月、カトリック両王はイベリア半島におけるイスラム王朝最後の拠点であったアルハンブラを陥落させ、長年の悲願であったレコンキスタ(イベリア半島の再征服)を成し遂げました。
 同じころ、コロンブスイザベル女王に対してアジアへの西回り航路の発見を提案し、支援を要請していました。レコンキスタの完遂によって余裕ができたイザベル女王はグラナダでコロンブスと会い、その事業を支援することにしたのです。その結果、同年10月にコロンブスは新大陸を発見したというわけです。その後、スペインは新大陸からもたらされた莫大な利益によって世界に君臨する大帝国に発展していきました。

 つまり、グラナダはカトリック両王、特にイザベル女王にとって特別な町であったわけです。女王は生前、この場所に自分たちの墓所を作ることを命じたそうです。

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カテドラルに隣接する王室礼拝堂の入り口。堂内は撮影禁止になっている。


 王室礼拝堂の中には四つの大きな大理石の棺が安置されています。イザベル女王とフェルナンド王の他、二人の娘フアナとその夫のフェリペです。棺には横たわる四人の像をはじめとして見事な彫刻が施されており一見の価値があります。また、聖具室にはイザベル女王が収集したとされる絵画なども展示されています。
 ここでは日本語対応のオーディオガイドを貸してくれるため、詳しい解説付きで見学ができました。


 量が多すぎるランチに四苦八苦!


 昼時になり、レストランで食事をすることにしました。
 スペインでは昼食が最も重要で、たっぷりの料理を時間をかけて味わいます。このため、多くのレストランでは飲み物(ワイン、ビールなど)に二種類の皿とデザートがセットになったメヌー・デル・ディア(日替わり定食)を用意しています。

 街の中心にある庶民的な感じのレストランに入ってメニューを見ると、定食が12ユーロ(約1500円)。安い店だと10ユーロからありますが、比較的リーズナブルな感じです。飲み物はビール、最初の皿はパエリャ、二番目の皿はハムのポテト添えを頼みました。

 まず、ビールと一緒に前菜の肉団子が出てきました。そしてパエリャですが、量が多いです。パエリャを食べ終わらないうちに二番目のハムが出てきました。大きな皿にチャーシューのようなハムが10枚ほどとたっぷりのフライドポテトが乗っています。パエリャだけでお腹がいっぱいでしたが、頑張ってハムを食べはじめました。
 すると、ウエイターが私の横に来て「早く食べろ!」と急かすのです。どうやら親しみを込めた冗談のようでした。

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中央が昼食を食べたレストラン。

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二番目の皿のハムとフライドポテト。煮チャーシューのような感じだった。奥は魚フライの盛り合わせ。

 ようやく食べ終え、ホッとした私はトイレに立ちました。テーブルに戻ると、大きなコップに入ったデザートが置かれています。ウエイターに「これ何?」と聞くと、「アロス・コン・レチェだ」と言います。米を牛乳で煮たババロアみたいなものです。見ただけでげんなりしました。

 それを何とか食べ終え、店を出ると、ウエイターが追いかけてきたのです。何事かと思ったら、私がテーブルに忘れたガイドブックを持ってきてくれたのです。お腹がいっぱい過ぎて注意力を失っていたのです。笑顔のウエイターは「またね」と言って戻っていきました。「またねと言われてもね…」と苦笑いするしかありませんでした。

アルハンブラ宮殿を望む展望台に行く!


 午後は、アルハンブラ宮殿の向かい側の丘陵にあるアルバイシン地区に行きました。ここは、かつてイスラム教徒の居住地区だった場所でイスラム風の建築が多く残されています。また、アルハンブラ宮殿全体を眺めることができる展望台もあるのです。

 雨模様だった天気が回復し、気持ちのいい気候の中をゆるやかな坂道を登っていきます。アルバイシン地区の中に入ると、イスラム風の細い石畳の道と白壁の家々が連なる街路の独特の雰囲気を味わうことができます。迷路のように入り組んだ道が多いため、展望台を探すのに少し苦労しましたが、無事に到着。

 展望台の広場から見ると、街を隔てた正面の丘の上にアルハンブラ宮殿の複数の建物が広がっており、その後方には雪を被ったシエラネバダ山脈が見えます。ここからの景色は素晴らしく、来た甲斐がありました。

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狭くて入り組んだ道が多いアルバイシン

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白壁の家が多く、景色も美しい。

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展望台から見ると、アルハンブラの後ろに雪のシエラネバダ山脈がそびえる



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