ユカタン旅行その11(カンクン)
2012-02-24
今回の旅では、最後に数日間カンクンに滞在しました。旅の疲れを取るためと、最後に少しリゾート気分を味わいたいと思ったからです。
カンクンは、すでに日本でもかなり知られた、メキシコ最大のリゾート地です。あまり観光客がいないこの時期でも、若い日本人の観光客をちらほら見かけます。
カンクンの魅力はいろいろとありますが、最大の魅力は約20キロもの長さがある美しいビーチでしょう。私が最初にこのビーチを見たのは30年前ですが、その時、「こんなに美しい海岸があるのか」と驚いたほどです。それ以前に沖縄の竹富島などの美しいビーチも見ていましたが、カンクンはそれをはるかに上回る美しさを持っていました。残念ながら、今は竹富もカンクンも当時のビーチの美しさは保っていませんが・・・・。

では、20キロあるビーチのどこでも美しいかといえば、違います。どうせ行くなら、美しいビーチに面したホテルに泊まりたいと誰でも思うでしょうが、しっかりホテルを選ばないと美しいビーチがないということも多いのです。
私の場合は、お金がないため、旅行に持参した小型PCを使ってホテル予約サイトでカンクンのリゾートホテルを探しました。特定のホテル予約サイトでは、プロモーションをやっていて、シーズンオフなら、すごく安い料金のホテルがあるのです。
見つけたのは、カンクンのリゾートホテルで、1泊3200円というものでした。「地球の歩き方」を見ると、このホテルは1泊8000円くらいからとなっているのです。私は、すぐこのホテルを3泊予約しました。
旅の終わりに、私はこの予約したホテルに出かけました。ただ、カンクンのホテル地区にあるホテルにしては少し安すぎるため、位置する場所が悪いのだろうと予想はしていました。
カンクンのビーチは、大まかにいって外海に面したビーチと湾に近い形になっている部分に面したビーチに分けられます。外海に面したビーチの海は波は高いのですが明るいブルー色でものすごく綺麗です。ここにあるホテルはほとんどが高級です(上写真)。
一方、湾に面したビーチは外海ほど綺麗ではありませんが、外海に近くなるほど綺麗になります。このビーチも中海と外海をつなぐ川のような部分を境に、外海側とダウンタウン側に分けられるのです。特に、ダウンタウン側は波がほとんどなく、海藻がたくさん溜まるために海は黒っぽくてきれいではありません。
私のホテルはこのビーチの最もダウンタウン側に位置していました。ビーチは狭く、両隣にボートの係留場がありました(下写真)。水は淀み、海藻が溜まって黒くなっています、当然、海で遊ぶ人は少なく、メキシコ人の家族が水遊びをしているだけでした。

ホテルはもう仕方がないので、私は外海に面したビーチで泳ぐことにしました。カンクンのホテルエリアを走るバスを使えば、1回8.5ペソ(約60円)でどこにでも行けます。ダウンタウンは様々なバス路線が交錯していますが、ホテルエリアは道が1本しかないのですから、迷うこともありません。

バスの窓際に腰掛け、外の景色と地図の表示を比べて、目星をつけたところで降りました。それは、外海に面した高級ホテルが立ち並ぶ場所でした。ところが、ビーチに出ようと思っても、広大な敷地を持つホテルに遮られて行けないのです。ホテルとホテルの境に通れる隙間があるのではないかと探しましたが、それもありません。
仕方なくホテルの敷地に入り、警備員がいる駐車場を抜けて歩いていくと、たまたま海に通じる道が見つかりました。そこには「パブリック・ビーチ」という看板が出ていました。つまり、そこ以外は高級ホテルがプライベートビーチ化し、宿泊客ではない者を締め出そうとしているのです。ただし、メキシコのビーチはホテルの所有物ではないので、だれがどこで泳ごうがとがめられることはありません。
海岸に出てみると、そこには真っ青な海と白い砂の長大なビーチが広がっていました。そして、海岸に沿って貧乏人を威圧するかのように、豪華なホテルが軒を連ねています。かなりの遠浅ですが、外海のため波が結構あり、風が強いと遊泳禁止になることも多いのです。ただ、泳ぐにはこの波があったほうが面白いのです。

ちなみに、パブリック・ビーチに出る道は、外海ではククルカン・プラザの前、外海と湾側の境ではカラコル・プラザの横など、ところどころにあります。
ところで、このカンクンにもマヤの遺跡があります。外海のビーチに面した高級ホテルに囲まれた高台に、ひっそりと立つのが「Templo de Alacran(さそりの神殿)」です。

まるで、ホテルの敷地にある廃墟のように見えますが、ここは政府が管理している場所で、「ここに入って何かあってもホテルは責任を負わない」という注意書きがありました。小さな遺跡ですが、ここから見るカンクンビーチの景色はなかなかいいので、カンクンに行く機会があれば立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
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ユカタン旅行その10(バジャドリッド、エク・バラン遺跡)
2012-02-23
カーニバルに入り、ますます騒がしくなったメリダを後にして、チチェンイツア遺跡の近くに位置するバジャドリッドという町に向かいました。この町のことは「地球の歩き方」にも出ていませんが、近くにエク・バランという遺跡があります。バジャドリッドに行くのは、もちろんこの遺跡に行くためです。

バジャドリッドのメキシコ風教会
スピードが遅い代わりに値段が安い2等バスで、3時間ちょっとでバジャドリッドに着きました。途中、チチェンイツア遺跡の前を通りましたが、相変わらず観光客が多く、その周辺の観光開発も盛んに行われていました。
バジャドリッドは典型的なメキシコのコロニアル都市です。中央広場やカテドラルはメリダを小さくした感じですが、メリダよりはるかに落ち着いた田舎町の風情がいいです。メリダで泊まったホテルが気に入り、その姉妹ホテルがこの町にあると聞いて、すぐに訪ねました。
中央広場のカテドラルのすぐ横にホテルはあり、宿泊料はシーリングファンの部屋で415ペソ(40ドル弱)ですが、部屋が非常に綺麗で、庭に面しているのですが、そこにはプールもあります。この価格でこれだけの施設のホテルは、メキシコではなかなかないと思います。

暑い日でした。「遺跡から帰ったら絶対プールで泳ごう」と思いながら遺跡行きのタクシーを探しました。
エク・バランは、最近になって発掘と開発が進んだ遺跡で、観光客はそれほど多くありません。そのため、みんな高級ホテルのツアーか自家用車で行きます。私のような単独の旅行者は地元のタクシーを使うのですが、一人だと高いので乗り合いを探すわけです。
乗り合いタクシーの待合所には地元民であるマヤの老婆と二人の若者が待っていました。20分ほどするとタクシーが来て、地元の3人が後部座席に乗り込みました。私が、助手席に乗ろうとすると、運転手が「ダメだ」と手を振ります。
私は訳が分からず「どうして?」と聞きました。このタクシーに乗れないと、当分、次は来ない感じだったのです。その時、老婆がマヤ語で運転手になにやら声をかけました。すると、運転手は私に「乗れ」と言ったのです。
運転手が断った理由は間もなく分かりました。このマヤの家族が用事でタクシーを使うため、遺跡に行くつもりがなかったのです。タクシーはマヤの村に入っていき、一軒の食堂の前で停まりました。若い男性が車から降り、食堂の中から「20分くらいかかるよ!」と運転手に声をかけました。
運転手はうなづくと、車のエンジンを切って、降りてしまいました。車の中はひどく暑い状態になり、私も我慢できずに外に出て、食堂に入ってみました。そこでは、チキンの炭火焼きを作っていたのです。
それまでは、私が話しかけても適当な返事しかしない、無愛想な運転手でしたが、わたしがボーっとチキンが焼けるのを見ていると、声をかけてきました。そこに、暇そうにしていた村の老人も加わって、料理の話や日本の話が弾みました。
ずいぶん道草を食いましたが、こういう地元の日常生活に出会える時間こそ個人旅行の楽しみです。
本来、30分程度で着く遺跡ですが、1時間以上かかって到着しました。料金は40ペソ。一人でタクシーを使うと150ペソ以上ということでした。

遺跡入り口のエンブレム
エク・バラン遺跡は、パレンケより少し小さい、中程度の規模の遺跡です。いくつかの神殿と綺麗な球技場がありますが、見所は主神殿の壁の造形です。この神殿は高さが33mある立派なもので、頂上まで一直線に上れる広い階段が着いています。これは巨大な王墓ということですが、厳かな神事を行うにふさわしい感じがします。

この神殿の途中に、精密な彫刻が残る壁があります。その形はチカンナ遺跡にあるのと基本的に同じ、神が口を開けた造形ですが、その周囲の像などの保存状態が良く、人物像なども何体か残っています。こういう立体的で細かい造形は他のマヤ遺跡では見れないので貴重だと思います。

また、神殿の頂上に登ると密林に覆われた遺跡の様子が見渡せます。この日は風が強く、私はよろけそうになりながらピラミッド神殿の上からの絶景を楽しみました。

ピラミッドの上からの景色
バジャドリッドは欧米の観光客が多いため、レストランも結構充実しています。夕食に、旅行者が利用する洋風レストランに入ってみました。西洋料理中心のメニューでしたが、なじみのある料理なので、悪くなかったです。

この街は、のんびりと旅行の疲れをいやすのに向いていると思います。
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ユカタン旅行その9(メリダ、ルータ・プーク)
2012-02-21
カンペチェからユカタン半島の北西に位置する古都メリダにやってきました。メリダもコロニアル都市ですが、カンペチェより規模が大きく、人も車もいっぱいです。至る所で「都市再生」と銘打った工事をやっているため、騒々しくて、埃っぽいのにはまいります。聞いたところでは、2012年のマヤの世紀末予言を契機としてこの地域の観光振興をはかるため、政府はかなりの額の投資を行っているそうです。もう少ししたら、メリダは綺麗ないい町に生まれ変わるかもしれません。
今でも、中央広場に面したカテドラルの夜の光景は下写真のように綺麗ですが。

メリダはユカタン半島の中心都市であり、マヤの遺跡も周辺にたくさんあります。有名なのは町の東に位置するチチェンイツア遺跡ですが、今回、私は町の南に位置するルータ・プークを訪ねます。
プークというのはマヤの建築装飾の様式のひとつで、切石をモザイク状に配置して神の顔や幾何学模様などを浮き上がらせるものです。マヤ遺跡の中でもプーク様式の遺跡はマヤの華麗な装飾技術が見られるので人気が高いのです。
このプーク様式が残る5つの遺跡を一日で回るルータ・プークというツアーがありるのですが、金、土、日だけに行われます。私は、火曜日にメリダに着いたので、3日間このツアーを待ちました。5つの遺跡のうち2つだけを回るツアーは毎日あるのですが、私はどうしても5つすべて見たかったのです。
土曜日になり、朝8時にツアーが出発しました。車はミニバンで、参加者はヨーロッパのカップルが3組、ポーランド人の年輩の男性、アラブ系らしき精悍な顔つきの男性、日本人の大学生、それに私の合計10人です。
車は密林を切り開いて作った直線道路を高速で走ります。ルータ・プークは最もメリダに近いウシュマル遺跡まで、非常によく道路整備されています。2時間くらいで、最初の目的地であるラブナー遺跡に着きました。
ラブナーは小さな遺跡ですが、プーク様式の神殿が良く保存されており、写真のようなマヤの持ち送り式アーチとプーク様式のデザインが合わさった建物もあります。

次は、シュラパック遺跡です。ここも下写真のような、雨の神チャックを顔を表現したプーク様式の美しい神殿を見ることができます。

それにしても、この時期、ユカタンは乾期に当たり、毎日、晴天が続いています。強い日差しの中を何時間も遺跡を歩き、ピラミッドに登ったりしていると、疲れと暑さで頭がくらくらするほどになります。遺跡巡りもつらいものです。
次のサイール遺跡も、まあ同じような感じの遺跡です。私たちの期待はカバー遺跡に向かっていました。ここは、雨の神チャックの顔がたくさん並んだ神殿の壁で有名です。下写真のように、かなり大きな壁一面にチャックの顔が集まっていて、結構、壮観です。

いよいよ最後はウシュマル遺跡です。すでに昼を過ぎていて、運転手が「ウシュマルは何でも高いので、近くの村で食べ物を調達しよう」と言います。連れて行かれたのは、小さな村の雑貨屋のようなところで、飲み物とスナック菓子くらいしかありません。
しかたなく、私はオレンジジュースとビスケットを買って昼食としました。「食事の時間はないのか?」と参加者の一人が聞きましたが、運転手の答えは「時間はない」でした。
まあ、このツアーに参加しているのは、基本的にみんな遺跡好きですから、特段文句も出ません。それより、ウシュマル遺跡を見る時間の方が気になります。日本人の大学生も「ウシュマルを見る時間が足りないんじゃないですか」と心配そうでした。
ウシュマルは15年前に来た時より、周辺が格段に整備されていました。その分、入場料も高くなり、なんとここだけで、ツアー料金の159ペソを上回る177ペソも取られました。5つの遺跡を合わせると、300ペソ(30ドル弱)を超えます。これは予想外でした。
ウシュマルは魔法使いのピラミッドで有名です。堂々とした姿の巨大なピラミッドで、以前は上れたのですが、今は遺跡保護のために登頂禁止です。このピラミッドは裏から見ると見事なプーク様式で飾られています。これを見るだけでもウシュマルに来た甲斐があります。

また、プーク様式の最高峰と言える尼僧院の建物や、他の遺跡に類を見ない堂々たる建築物である総督の館も素晴らしいとしか言いようがありません。これを見ると、チチェンイツア遺跡が貧相に感じるほどです。

見事な装飾が施された尼僧院。後ろに魔法使いのピラミッドがそびえる。
ただ、このツアーでは1時半しかウシュマルを見ることができません。初めてウシュマルに行く人には時間が足りないと思います。アラブ系の男性は私に向かって「時間がぜんぜん足りないよね」と不満そうに言っていました。
それにしても、こういうツアーに参加する人は本当に遺跡が好きなんですね。単独参加のポーランド人とアラブ系と私が3人で遺跡の話をしましたが、二人とも、次はどこの遺跡に行くとか、この遺跡は良かったから是非行って見ろとか言うのです。
彼らと話しながら 世界にはこういう同志が結構いることがわかり、嬉しくなりました。私も負けずに、さらに遺跡を訪ねたいと思います。
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ユカタン旅行その8(カンペチェ・エズナー遺跡)
2012-02-19
シュプヒルからカンペチェにやってきました。ここは世界文化遺産に登録されている美しい町です。メキシコには、スペイン植民地時代に築かれた美しい町が多いのですが、カンペチェはまるで映画のセットのように美しく、こういう町が実際にあるのに驚くほどです。町のシンボルであるカテドラル(大寺院)は、夜になると周囲のコロニアル風の建物とともに美しくライトアップされます。

町の通りは下写真のように、カラフルな色の家が並んでいます。中心部の通りはこんな感じの家ばかりです。人も車もそれほど多くないし、夕方になると町の前に広がるメキシコ湾に沈む夕日が美しいのです。こんなにいい感じの町があったなんてこれまで知りませんでした。

さて、この町の近くにはエズナーという遺跡があります。町からバスで1時間ちょっとで簡単に行けるのですが、あまり海外からの観光客は多くありません。日曜日に行ったせいか、遺跡にいるのは、ほとんどがメキシコ人の家族連れでした。
写真のように子供たちが遺跡の上で遊んでいました。

エズナー遺跡は面積は大きくないのですが、建造物はかなり立派です。全体的な感じはパレンケに似ているのですが、それ上回る巨大な都市だったと想像できます。これだけの遺跡があまり知られていないのは残念です。

メインの神殿は複数の神殿群を支える巨大な基壇の上に乗っています。そのため、神殿の階段を上っていくと、下写真のようなピラミッド型神殿の偉容が現れるのです。これは、ちょっと感動します。
神殿の一つに登っていたら、近くの村からやってきた親子に声をかけられ、「この遺跡は素晴らしい」というような話をしました。帰りのバスが通るのを待つのが少し面倒ですが、タクシーを使う必要もない、行きやすい遺跡です。

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ユカタン旅行その7(カラクムル遺跡)
2012-02-16
今日は、いよいよ世界遺産カラクムル遺跡に出発します。昨日のタクシーの運転手がこう提案してくれました。
「朝6時にホテルを出発した場合、往復の移動時間が4時間で、現地に3時間いても、2時前には帰ってこれる。そうすると、2時発のカンペチェ行きバスの出発に間に合う」
カンペチェ行きのバスはそんなに本数がないし、到着まで5時間くらいかかるといいます。そうすると2時のバスに間に合わないと、もう1泊シュプヒル泊りになるわけです。それは避けたいので、6時発でカラクムル遺跡に向かうことにしました。
朝6時、運転手が時間ぴったりにやってきました。タクシーに乗り込み、ほとんど車が通っていない道を猛スピードで走りました。
道中、運転手は「これまでアメリカに3回行って、中国人やフィリピン人と料理店で仕事をした」と身の上話をしてくれました。なにしろ、二人しか乗っていないのです。これで会話がなければ、かなりの時間ですから、結構気まずいでしょうね。
1時間ほどで、幹線道路から遺跡に入る分岐点に到着しました。ここから遺跡までは60キロあります。運転手は、今は遺跡の環境保護のために20キロ地点までしか車が入れない。そこから先は専用のマイクロバスに乗り換えると言っていました。その価格が往復190ペソと言います。タクシー代800ペソに、車で入っていくための道路使用料、遺跡入場料を合わせると1100ペソ(約100ドル)弱になります。結構しますね。
道路の分岐点では、下の写真のように数台の車が列をなしていました。運転手が「様子を見てくる」と言って、出て行きました。私も、車外に出て大勢の人が集まって、なにやら深刻そうに話しているのを見ていました。

一人の女性が言葉を荒げて「すぐゲートを開けなさい」と怒鳴っています。しかし、管理者らしき男たちは首を振るばかりで、女性はあきれ顔をして周囲をうろつき始めました。
これは、尋常ではない事態が起きていると思いました。心配しながら待っていると運転手が戻ってきて言いました。
「遺跡近くにある二つの村の間でトラブルが起きている。それで、事態を見るために道路のゲートを閉じているんだが、心配しなくてもそのうち開けるよ」
運転手は楽観的ですが、あまり信用できません。他のタクシーの連中は、「時間がかかるから朝飯を食べに行こう」などと言って消えてしまうし、遠足に来た学校の生徒はバスから降りてハイキング気分で森の中を歩き始めました。
私は、あまり遅くなると2時のバスに間に合わないし、それ以上に遺跡に入れなければ一大事です。時計を見ながらイライラしていると、1時間ちょっと経過した頃に、急に周囲があわただしくなり、「ゲートが開く」と運転手が言いました。
やっと、ゲートが開き、大型バスを先頭に、タクシーや観光客の車が続いて走り出しました。森の中の未舗装道路ですが、カラコル遺跡のようなでこぼこ道ではないので、かなりスピードが出せます。特にタクシーは早いです。3台のタクシーがつながって、観光客の車や大型バスを次々と追い抜いていきます。まるでラリーをやっているみたいな走り方でした。
「トラブルがあったが、逆にラッキーだったのは、このトラブルでマイクロバスが運行できなくなり、今日は車で直接遺跡の入り口まで行けるようになったことだ」と運転手が言います。
ということは、190ペソ浮いたということです。確かに、これで2時のバスに間に合えばラッキーです。
カラクムル遺跡に着くと、すぐに遺跡に入りました。3台のタクシーの客、6人だけですから、静かです。道に野生の七面鳥が群をなしてあるいていたりします。
カラクムルはカラコルやティカルなどとよく似た、密林の中の巨大遺跡です。そのほとんどが木々に覆われていますから、全体がどうなっているかよくわかりません。そこで、ピラミッド神殿に登ってみると、下の写真(第2神殿)のように、樹海の先に巨大なピラミッド神殿が頭を出しているのが見えます。

まだまだ未開発の遺跡ですが、第1神殿、第2神殿とも、かなりの高さがあり、頂上に登って周囲を見渡すと爽快な気分になります。遺跡の見応えという点では、ティカルに負けますが、もう少し開発と整備が進めばティカルに匹敵する遺跡として評判になるかもしれません。
しかし、こういう未開発の遺跡ではいろんな想像力が働きますので、見ていて飽きないですね。私は、よくパワースポットなどと言われる遺跡は嘘くさくてつまらないと思うのですが、カラクムルの第1神殿(下写真)は本物のパワースポットだと思います。

限りある時間が迫り、私は大急ぎで駐車場に向かいましたが、近道をしようとして密林に迷い込んでしましました。あせりましたが、なんとか帰り道を見つけ駐車場に着いたときには12時を過ぎていました。
タクシーの運転手は猛スピードで運転を始めました。もし、マイクロバスを使っていたらとても間に合う時間ではなかったと思います。60キロの密林の蛇行した道路を約40分で抜け、幹線道路では120キロくらいで飛ばします。
「警官の取り締まりはないのか?」と聞くと「そんなのないよ」と答えます。間もなく、警官を乗せたトラックが猛スピードでタクシーを追い抜いていきました。
シュプヒルには2時10分前に到着しました。ちょうど、カンペチェ行きのADO1等バスが到着し、すぐに乗り込みました。タクシーの運ちゃんは、嬉しそうに笑って見送ってくれました。

ベリーズの運ちゃんに劣らず、この運ちゃんもいい人で、道中も楽しかった。これが一番のラッキーでした。
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