中国企業がニカラグアの運河を建設する!

 2014-12-25
 12月22日、中米のニカラグアで、太平洋とカリブ海を結ぶ運河の建設作業が始まりました。

 計画によると運河は全長約280キロで、総工費500億ドル(約6兆円)。完成は2020年ということです。規模としては、近くにあるパナマ運河を上回るということで、運河の収入が国家経済を支えているパナマは穏やかではないでしょうね。パナマの大統領は「あまりに巨額の投資で、実現可能だとは思わない」と語ったそうです。

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ニカラグア運河のルート図


 建設を行うのは「hk nicaragua canal development investment」という中国の企業です。これは、中国の通信大手企業などを含む企業集団を率いるWang Jing氏が設立した会社なのです。

 Wang Jing氏は、22日にニカラグア南部のリバス(Rivas)で行われた着工式で建設工事の開始を宣言しましたが、写真を見るとまだ若いですね。

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運河の建設の着工式に出席したWang Jing氏


 中米にはパナマ運河がすでにあるのに、さらに巨額の投資をしてニカラグアに運河を作るのはなぜでしょう。この裏には、米国の裏庭と呼ばれる地域を巡る、米国と中国のせめぎあいがあるのは間違いありません。

 ニカラグアは長い間、親米派と反米派の争いの舞台になってきました。

 1972年に起きた大地震によって首都が壊滅したことがきっかけで反政府運動が活発化し、親米政権は崩壊。1979年に革命政権が樹立。これに危機感を抱いた米国は、コントラなどの反政府勢力を支援する形でニカラグアの革命政権に対する攻撃を行ったのです。

 長期間にわたってこのような紛争が続き、ニカラグア経済は破たん状態。特に首都マナグアは、長い間地震の被害から立ち直ることができませんでした。

 私が最初にマナグアに行ったのは革命の2年後ですが、首都の中心部には建物さえほとんどなく、終戦直後の東京のような感じでした。その12年後の1993年に行った時も、その状況はほとんど変わらず、首都中心部の廃墟の建物の中には浮浪者のような人たちが住んでいる有様でした。

 かつては中米で最も経済的に進んでいたという国が、長い内戦によって中米の最貧国に落ちてしまったのです。

 政治的には、2007年に、ニカラグア革命の立役者で、元大統領でもある左派・サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)のオルテガ氏が大統領になり、2011年の選挙でも再選を果たしました。当然、反米政権であり、同じ反米諸国のキューバ、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルとの関係を強化しています。

 中国としては、まさに好都合。ニカラグアとの関係を深め、巨大な権益を確保することで、国際的な関係が緊張した場合に米国に揺さぶりをかけることができるようになります。巨大運河建設は、中国の一企業が行う事業としては規模が大きくリスクも大きすぎます。世界中に影響力を強めようとしている中国が背後で操っていると見るのは当たり前ではないでしょうか。

 いずれにしろ、新運河建設は巨額の資金を投入する難工事になるのは確実です。しかし、もし、これが完成するとニカラグア経済に取っては大変な恩恵になり、パナマや米国にとっては少なからぬ痛手となります。船会社にとっては、一隻につき数千万円もかかる現在の高額な運河通行料が下がることが予想されるためいいことでしょう。

 様々な思惑が渦巻く新運河建設ですが、部外者は、どうなっていくか見守るしかありません。


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タグ : ニカラグア運河
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