神秘の遺跡シルスタニへ!
コパカバーナからプーノへ
次の目的地ペルーのプーノに向けて出発です。バスは朝9時発。天気は、またも雨。
出発して約30分でペルーとの国境に到着。まず、ボリビア側のコントロールで出国スタンプをもらい、雨の中、徒歩でペルー側のコントロールに向かいます。バスの中でもらったツーリストカードに必要事項を記入しておいたのですが、抜けていた所があったため、ペルーの係官から「テーブルで記入して来い」と言われてしまいました。せっかく早く到着したのに記入している間に7~8人が列に並んでしまい、ちょっと残念。
ここで、ボリビアの余った通貨をペルーの通貨に交換。交換率がいいのか悪いのか分かりませんが、大した金額ではないのでOK。必要な金はプーノで両替したほうが安心です。
再びバスに乗り、プーノを目指します。チチカカ湖岸を走るため景色はよさそうですが、雨なのでよく分かりません。
12時にプーノに着きました。ただし、ペルー時間はボリビアより1時間遅れているので、4時間かかったことになります。けっこう遠いです。
ボリビアとペルーの国境は雨だった
プーノのバスターミナルは街の中心からは少し離れたチチカカ湖のそばにあります。ターミナルの近くにもホテルはありますが、できれば街の中心部に近いホテルにしたいのです。中心部までどうやって行こうか考えていると、年配の男性が声を掛けてきました。
「また、ホテルの客引きか」と思っていると、「遺跡に行かないか?」と言います。プーノで遺跡といえばシルスタニ遺跡のことでしょう。出発時間を聞くと「まだ間に合う」と言います。
そこで、「先にホテルに行かなくてはならない」と言うと、「どこのホテル?」。まだ決めていなかったので、地球の歩き方に乗っていたホテル名をとっさに言うと、「そこはよく知っているから一緒にタクシーで行こう」と言います。「まあ、いいか」という感じでホテルに行き、近くのツアーオフィスで遺跡ツアーに申し込みました。料金は45ソレス(1500円くらい)。
プーノの中心に聳えるカテドラル
シルスタニ遺跡へ
ホテルに荷物を置いてしばらくすると、玄関にマイクロバスがやって来ました。参加者は6人ほどでしたが、その中に20代後半と思われるチェコ人の女の子がいました。私と同じ一人旅の上、スペイン語を勉強中ということで話が弾み、楽しいひと時を過ごせました。
シルスタニ遺跡は、プーノの北33㎞にあるウマヨ湖を見下ろす高台にあります。この地に人が居住し始めたのは紀元前200年から紀元500年に栄えたプカラ文化の時代です。その後、1200年から1450年にはコリャ文化(Cultura
Qolla)が占有し、1450年から1532年の間はインカの支配下にあったそうです。
遺跡は高台に位置している。ボリビアと異なり周辺が整備されている。
巨大な塔墓チュルパが残る
コリャ文化の時代に、石を円柱の塔のように積み上げたチュルパと呼ばれる墓が数多く作られ、亡くなった支配層が葬られました。この習慣を受け継いだインカも多くのチュルパを残しました。数多くあったチュルパは、その後、盗掘などによってほとんど破壊されてしまい、現在、元の形が残っているのは6基程度ということです。最大のもので高さが12mほどある巨大な壺のような形をしています。死者を胎児のような姿勢で中に安置し、周りに食べ物や副葬品を納めてあったそうです。また、東側に出入り口が設けてあり、冬至にはここから太陽の光が内部に差し込むようになっていますが、これは、死者の復活を願ったものと推測されています。
コリャ文化のチュルパは石を積み上げるだけのシンプルな作りだったのですが、インカ時代になると、石の加工技術を駆使した美しい塔墓が作られるようになりました。石と石を隙間がほとんどないように組み合わせる技術はさすがインカと思わせます。ちなみに、シルスタニの語源は爪(シルス)滑る(ルスタニ)だそうですが、これは爪さえ引っかからない塔墓表面の見事な加工を示しているのではないかと、スペイン語版のウイキペディアでは解説しています。
最大の墓が見晴らしのいい場所に立っている
インカ時代の墓は美しい。上部には再生のシンボルであるトカゲが彫られている。
大きさの異なる墓が点在する
UFOが見られる?ウマヨ湖
遺跡として見て面白いかどうか疑問もありますが、遺跡から見るウマヨ湖の景色は美しいです。古代の墳墓が点在するシュールさと山が平らにならされたような形をした島が浮かぶウマヨ湖の不思議な光景がマッチするのでしょう、ここはUFOの発見場所や強力なパワースポットとして知られているようです。
ウマヨ湖に浮かぶ平らな島。UFOが着陸する場所だとか言われているそうな???
おいしいケーキに感動!!
ホテルに戻る途中、プーノのメイン通りでコーヒーが飲みたくなりました。この町にも35年前に1泊したことがありますが、その時は、町がみすぼらしく、街路やチチカカ湖岸があまりにも汚なくて驚いたものです。
しかし、今のプーノは賑やかで街路もキレイで、昔の面影はありません。中央広場周辺には観光客相手の洒落たレストランやカフェも多く、ボリビア側のコパカバーナと比べてもはるかに発展した観光地という雰囲気です。大勢の人で賑わうメイン通りを歩いていると、感じのいい小さなコーヒー屋さんがありました。ショーウインドウにはケーキが飾ってあり、おいしそうな感じです。
狭い店内は欧米の観光客でいっぱいでしたが、空いている端っこの席に腰を掛けてカフェラテとリンゴパイを注文しました。カフェラテもおいしかったのですが、リンゴパイは絶品でした。大きなリンゴが入っていて、甘さもちょうどよく、クリームの滑らかさも抜群。この旅行で初めて、心から「おいしい!」と思う食べ物に出会った感じでした。やはり、ペルーは進んでいます。
プーノのメイン通りは賑やかだ