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マドリードの美術館巡り! スペイン旅行記㉓

 2019-07-03
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マドリードの中心街

プラド美術館へ行く!


 マドリードの見どころは様々ですが、見逃せないのは美術館でしょう。その代表は、世界3大美術館の一つに数えられるプラド美術館です。ちなみに、3大美術館に何を入れるか決まりはなく、入場者数や収蔵作品数の多さからアメリカのメトロポリタン美術館を入れるケースも多いようです。
 私は4つの美術館に行きましたが、メトロポリタン美術館の収蔵作品は他の3つの美術館とは異なるイメージが強く、これを3大美術館に入れるのは違和感があります。

 プラド美術館は地下鉄1号線のアルテ駅から歩いて10分程度です。この駅は以前はアトーチャという名でしたが、今はアルテ(芸術という意味)に変わっています。

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地下鉄アルテ(ARTE)駅の構内


 到着したのは朝10時過ぎでした。開館は10時からですが、すでにチケット売り場には長蛇の列ができていました。朝一で入館したい人が多いのでこの時間は混むのです。ネットで事前にチケットを購入していれば並ぶことなく入場できます。

 待つこと30分ほどでチケットを手に入れ入場。美術館本館の建物は建築家ビリャヌエバが設計したため、ビリャヌエバ館と呼ばれます。元々博物館として作られたそうですが1819年に歴代スペイン王家のコレクションを展示する王立美術館として開館しました。ネオクラシックの非常に立派な建物ですが、今は外観が修復工事中でほとんど見れなかったのは残念でした。

 地上3階、地下1階の4フロアある館内は非常に広く、展示作品も多いので一日ですべて見ようとすると疲れてしまい、何が何だかわからなくなります。そこで、館内ガイドを頼りにフランドル画家のヒエロニムス・ボスやピーテル・ブリューゲル、日本でも知られているスペインの有名画家、ベラスケス、ゴヤなどの作品を中心に見ていくことにしました。

 最初に見つけたのはボスの数点の作品ですが、その独特のイメージには驚かされます。画集などでは見ていましたが、本物はやはりすごいです。また、ブリューゲルも画集で見るイメージとは異なる迫力ある作品が素晴らしいです。
 ベラスケスの作品は、ピカソが題材とした「ラス・メニーナス」が特に印象に残ります。ゴヤは「マドリード」など、刺激的な印象の作品が多いのですが、やはり「裸のマハ」、「着衣のマハ」はいいですね。土産にこの二点の絵のマグネットまで買ってしまいました。

 かなり速足で館内を巡ったため疲れました。昼過ぎに美術館を出ると、この日は街の中心部のデパート、コルテ・イングレスの地下食品売り場で夕食の買い物などをして終了しました。

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プラド美術館の入り口。チケット売り場は別の場所。

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美術館で買った「裸のマハ」、「着衣のマハ」

ゲルニカがあるソフィア王妃芸術センター


 翌日、朝からソフィア王妃芸術センターへ出かけました。

 ここは近・現代美術を中心に展示している美術館ですが、ピカソの最も有名な作品「ゲルニカ」が展示されていることで有名です。

 朝、10時過ぎに到着しましたが、チケット売り場は空いていました。ここは日曜日の午後1時半から無料になるのですが、その時は長蛇の列ができます。
 入場料は10ユーロですが、18歳以下と65歳以上は無料。また、ネットでチケットを購入すると8ユーロになります。いろいろな割引制度があるのがスペインのいいところです。

 ソフィア王妃芸術センターは元々病院だった建物を改装したのだそうです。プラドのような歴史的な建造物ではなく、近代的な、味気ない建物です。展示物もダリやミロ、ピカソなどの有名芸術家の作品もありますが、近代芸術特有の多様な手法を駆使した難解な作品が多いのが特徴です。一部、リベラ、オロスコなどメキシコの三大巨匠の小品が特設展示された部屋があり、ここは興味深かったです。
 ゲルニカだけは大勢の人が周りを取り囲んでいます。以前見たときは、防弾ガラスがあったように記憶していますが、今はありませんからスッキリ見ることができます。ただ、話題作ではあっても、そんなにいい絵とは思えないのですが…。

 ここでは、美術作品の鑑賞を学校の授業として行っているようで、大勢の子供たちが作品の前に座り込んで先生から解説を聞いている姿をよく見ることができます。それを見ていると、こういう機会が持てるマドリードの子供たちがうらやましくなります。

 なお、ここでは、ゲルニカを除いて写真撮影が許されています。芸術作品を撮影しても意味はないのですが、面白い作品があるとつい写したくなります。

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ソフィア王妃芸術センターの正面

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中庭にも作品が置かれ、憩いの場となっている。

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ダリの作品の前で解説を聞く子供たち。理解できるか…?

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土産物売り場のようだが、これも芸術作品。


マドリードの中心地、プエルタ・デル・ソル


 午後からは、王宮に出かけました。
 最寄り駅は地下鉄2号線のオペラ駅ですが、ソフィアからだと乗り換えが必要になるので、地下鉄1号線のソル駅で降りて歩くことにしました。一駅分あるのですが、ソル駅のあるプエルタ・デル・ソルはマドリードの中心地であり、最も賑やかなところです。ここから王宮に向かうアレナル通りは、土産物屋やレストラン、カフェなどが軒を連ねており、ウインドウショッピングで歩いているだけで楽しいです。

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プエルタ・デル・ソルには騎馬警官もいた

ベルサイユ宮殿みたいな部屋がたくさんある王宮


 王立劇場の建物を過ぎると緑の広場の先に王宮が見えます。建物沿いに、王宮と向かい合わせに建つカテドラルの方に歩くと、入場チケットを購入する人たちの列がありました。ここもネットでチケットを購入すれば列に並ばずに入場できます。
 15分ほどでチケット売り場に到達。ユーロ圏在住者の65歳以上は料金の優遇措置があると書いてあります。日本人の私は対象外ですが、窓口の係員と交渉してみると割引が適用されました。こんな風に融通が利くところもいいですね。

 最初に、王宮前のアルマス広場を横切って、庭に面した回廊に向かいます。ここからは、カンポ・デル・モーロと呼ばれる広い庭園と、その先に流れるマンサナーレス川やマドリード郊外に至る広大な景色を見ることができます。

 王宮はフランスのベルサイユ宮殿で育ったフェリペ5世の命で建設されたフランス・イタリア風の宮殿で1764年に完成しました。確かに、過剰装飾で絢爛豪華な部屋を見ていくと、ベルサイユを思わせる部分があります。異なった装飾の部屋を次々と見ていくと、よくもこんな宮殿を作ったものだと思います。華麗なヨーロッパの装飾が好きな人ならたまらないのかもしれませんが、個人的にはシンプル好きなので、長い間、同じような装飾の部屋を見ていると飽きて疲れます。

 それでも、ゴヤが描いた王の肖像画など芸術作品が数多くあるので、美術鑑賞と考えると行く価値はあると思います。

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オリエンテ広場の先に王宮が見える

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王宮とアルマス広場

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回廊から見る景色が綺麗だ。

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王宮の中庭

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王宮の入り口部分にある大階段

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巨大なシャンデリアもある

名物料理のバルへ行く!


 スペイン最後の夜になりました。ここ数日バルに行っていなかったので、マヨール広場近くのバルで一杯やることにしました。

 サン・ミゲル市場の近くに得意料理を店名にしたバルが集まっているところがあります。最も有名なのは「メゾン・デル・チャンピニオン」でしょう。チャンピニオンというのはマッシュルームのことで、ここの名物料理はマッシュルームのオイル焼きです。シイタケのように大きなマッシュルームを裏返してオリーブオイルをかけ鉄板で焼いてあります。マッシュルームは癖がなく、オリーブオイルとよく合っておいしいのです。

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名物料理を出すバル(メゾン)が並んでいる。

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マッシュルームのオイル焼き

 25年前にもここに来たのですが、その時は、あまり人がおらず、ゆっくりとワインとマッシュルームを楽しむことができました。今回は観光客で大混雑です。幸い空いていた席に座り赤ワインとマッシュルームのオイル焼きを頼みました。ただ、混んでいるし観光客が多いので落ち着きません。早々に店を出て、同じ並びにある「メゾン・デル・ボケロン」という店に入りました。

 こちらは客が誰もおらず、「やってるのか?」と思いましたが、カウンターにいた店主が「いいよ、いいよ」と言うので、ビールと名物料理のボケロンを頼んでみました。
 ボケロンとはカタクチイワシのことで、バルではフライで出すのが一般的です。安い魚ですから、一般労働者が行くバルなどでは、山盛りのボケロンで酒を飲む人をよく見ます。

 店内に闘牛のポスターが貼ってあったので、「ここには闘牛士も来るの?」と店主に聞くと、「よく来るよ」と答えます。そこから闘牛の話になり、店主が「俺はポルトガルの出身だが、向こうの闘牛は牛を殺さない」と話しだしました。
 私は牛を殺す闘牛が好きではないので、「そういうのがいいね」というと、店主は笑顔になって、「これ食ってみろ!」と、ボケロンの酢漬けを持ってきました。アンチョビが苦手な妻も「これはおいしい」と言います。「そうだろ」と店主は得意げです。

 やがて、皿に盛ったボケロンのフライが出てきました。シンプルなイワシのフライです。ちょっと苦みがあっておいしいです。店主も、私たちの食べ方を嬉しそうに見ています。そのうち、ここによく来ると言う日本人の話題になりました。
 
 少しの間でしたが、最後に、地元の人とこういう会話ができたのはいい旅の思い出になりました。

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ボケロンと呼ばれるイワシのフライ


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マドリードの市場へ行く! スペイン旅行記㉒

 2019-07-01
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マドリードのマヨール広場


サラマンカからマドリードへ


 今日は、サラマンカからマドリードへ移動します。
 この間は列車もあるのですが、バスの方が本数も多く、到着場所がマドリードの中心に近いなど使い勝手がいいためバスを選択しました。
 バス会社はavanza社。バスにはノーマルとエクスプレスがあり、例えば10時30分発のノーマルだと所要時間3時間25分で料金が14.57ユーロ、10時発のエクスプレスだと2時間35分で21.20ユーロです。所要時間はバスの出発時間によって異なります。
 急ぐ旅でもないので、10時半発のノーマルを選択しました。
 ノーマルのバスは、途中の町のバス停に停まりながらゆっくり走ります。最初はいいのですが、特に景色がきれいでもないので、飽きます。バスの乗り疲れが出始めた午後2時ころ、マドリードの南バスターミナルに到着。ここはアトーチャ駅の近くにあるマドリード最大のバスターミナルです。

 宿泊先は、アルボル・デル・ハポンという日本人が経営している宿です。場所はマドリード中心部で、地下鉄1号線のTirso de Morina(チルソ・デ・モリーナ)という駅のそばということでした。南ターミナルの地下鉄駅は6号線のMéndez Álvaro(メンデス・アルバロ)ですから、1回乗り換えが必要になりますが、遠くはないです。
 地下鉄の駅から地上に出ると方向が全然わからないため少し戸惑いましたが、宿のホームページに出ている通りに歩き、無事に宿に到着しました。

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マドリードの地下鉄。電光掲示板の下段に次の列車が来るまでのおおよその時間が表示される。

日本人宿のメリットは?


 日本人宿というのは世界中の都市にあって、安い料金で安心して泊まれるのが最大の利点です。ただ、安いだけに部屋の掃除が行き届かないとか、設備が悪いといった問題がある宿もあります。

 アルボル・デル・ハポンの場合はツインで1泊49ユーロ(6000円強)ですから、それほど安いという感じではないのですが、部屋は比較的綺麗で、トイレやシャワーなどの設備も悪くはないです。マドリードの宿泊費はシーズンオフでツインが1万円くらいからですが、安いオスタルだと5000円くらいからあります。価格面だけ考えると日本人宿を選ぶ必要はないですが、オーナーが日本人ですから日本語が通じるし、様々な現地情報を得られるというメリットは大きいと思います。また、この宿の場合は3泊以上すると洗濯が無料というサービスもあります。

 ゴールデンウィークが終わったため、宿泊客は私たちの他は若い日本人一人だけで静かです。シャワーとトイレは共同ですが、事実上独占状態で使えました。


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真ん中が宿の入り口だが、少し分かりにくい。

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マドリードの中心街にはオスタル(安宿)が多い。

サン・ミゲル市場で食事を楽しむ


 マドリードの初日は、市場で食事をすることにしました。市場も何ヵ所かあるのですが、マヨール広場の近くにあるサン・ミゲル市場に行ってみることにしました。

 市場というと、魚屋や肉屋、八百屋が店を並べている、ちょっと汚れた感じの場所を想像するかもしれませんが、サン・ミゲル市場は観光客向けのフードコートです。
 ガラス張りの洒落た建物の中にたくさんの食べ物を売る店が集まっており、中央部分にはテーブルと椅子が並べられています。すでに午後4時近かったのですが、椅子は満席で、テーブルに立って食べる場所が少しある程度でした。
 仕方なく、一人がテーブルの場所を確保し、もう一人が周辺の店から飲み物や食べ物を調達するようにしました。食べ物は魚介類から肉、生ハム、フルーツなど種類が豊富で、どれを買おうか迷います。

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サン・ミゲル市場の外観

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市場の中はフードコートになっている。

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サンドイッチ類も多い。一つ2~5ユーロ。

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日本食もある。

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デザートも豊富

 ただ、全体的に値段が高いのです。生ハムの切り落としがほんの少しで17ユーロ(約2200円)と言われたのには驚きました。
「高いね!」と言うと、生ハム売りのおじさんは「品質が違うんだよ!」と渋い顔で言います。結局買わなかったので分かりませんが、一般的なバルなどと比べてかなり高い価格設定をしているのではないかと思います。それでも、ここは外国人観光客がお祭り気分で食事をするところですので、細かいことを言わずに楽しめばいいということでしょう。

 サン・ミゲル市場のように、誰でも気楽に入れて、大勢の客と一緒にテーブルに並びスペインの酒と料理を楽しめるような場所はあまりないと思います。

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生ハムをスライスして売っている。

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パンに大量の生クリームと生ハム、ジャムを乗せた不思議な食べ物。
   

大学都市サラマンカへ行く! スペイン旅行記㉑

 2019-06-30
サラマンカの風景
サラマンカの風景

バスの切符購入は自動販売機で!?


 今日はビルバオからサラマンカに移動します。

 所要時間は3時間半ほどですが、いつものALSA社のバスの切符を前日に購入しました。
 ところが、ここで問題がありました。人気のあるALSA社の窓口は多くのターミナルで切符を買う人の行列ができています。ここでも行列だったので並んだのですが、係員が「切符は自動販売機で買ってくれ!」と言っています。
 これもよくあることなので気にせず行列に並んだままでいると、今度は窓口の人が客に何やら言っています。どうやら彼女は「自動販売機に行け」と言っているようで、切符を売ることを拒否し始めたのです。しかし、自動販売機での切符購入は操作がかなり面倒なのです。しかも、現金払いは最大で20ユーロ札しか使えないため、50ユーロ札を崩すことができません。そこで、ねばって行列に並んでいたのですが、とうとう「自動販売機だ!」と係員が叫び始め、行列の客全員が自動販売機に行く羽目になりました。
 勝手がわからない外国人観光客が多く、自動販売機の前で操作を係員に教えてもらっているため、ここでも長い行列ができています。ただ、係員がいない販売機は空いていたため、すんなり切符の購入ができました。
 バス会社としては、できるだけ自動販売機でクレジットカード決済にしてほしいのは理解できます。ただ、機械の操作に慣れない人や、現金を使いたい私たちのような旅行者には不便と感じてしまいます。

好天に恵まれたサラマンカ


 朝11時発のバスで出発し、サラマンカのターミナルに着いたのは午後2時半ころでした。バスターミナルから街の中心部までは少し離れていて、徒歩で15分~20分程度かかります。天気のいい日で、冬の寒さが厳しいサラマンカもポカポカ陽気。湿度も低いため風がサラッとしていて歩いていても気持ちがいいです。

 サラマンカは観光地としては有名ではありませんが、スペイン最古の大学があり、スペイン語の学校も多いことから、語学留学のメッカとして知られています。私も25年前に約3か月間、語学留学していました。当時と、街の様子はほとんど変わっていません。

 宿泊は街の中心に近い中級ホテル。シーズンオフの平日ということもあって、ツインの部屋が一泊税込み7000円ほどと格安で泊まれたのはラッキーでした。

 世界遺産に登録されているサラマンカの旧市街はコンパクトにまとまっていて、歩いても楽に見て回れます。まずは、街の中心になるマヨール広場に行きます。宿泊しているホテルが旧市街にあるため、クラシックな石造りの重厚な建築物が並ぶ通りをゆっくり歩いて、10分ほどで到着。

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マヨール広場に続く道路。正面のアーチをくぐると広場。

スペインで最も美しい広場


 スペインで最も美しい広場と呼ばれるのがサラマンカのマヨール広場です。マヨール広場はサラマンカだけでなくスペインの主要都市の中心部にあります。その多くは街の象徴となるような建造物で囲まれ、市民の憩いの場となっています。これまで多くのマヨール広場を見てきましたが、たしかにサラマンカのマヨール広場の全体的に調和のとれた美しさは別格です。

 このマヨール広場が作られたのは18世紀のことです。スペイン・バロックのチュリゲラ様式を生み出したチュリゲラ兄弟の末弟が設計した周囲の建造物は、過剰な装飾を避けて広場全体の美的調和を求めた傑作とされています。昼間見ても美しいのですが、夜の明かりに照らされるとその幻想的な美しさが一層際立ちます。

 広場の周囲にはレストランやバルが並んでおり、その前にテラス席が設けられています。暑い日だったので、テラスの席に座ってカーニャ(生ビール)を飲みながら、広場を行きかう人たちを眺めて過ごしました。こうした、くつろいだ時間を持てるのは、個人旅行の大きな利点だと思います。

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マヨール広場はにぎやかだ。

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夜の美しさは格別。

ホタテ貝の装飾が面白い「貝の家


 翌日、朝から旧市街の散策です。
 まずは、マヨール広場から伸びるにぎやかなマヨール通りを南に下がると、かつて巡礼者を守るサンティアゴ騎士団の拠点として使われた「貝の家」があります。ゴシック様式の石造りの建物の壁に数多くのホタテ貝の装飾が取り付けられているため、この名がついたのです。

 ホタテ貝というのはサンティアゴ巡礼のシンボルなのですが、その理由については、目的地であるサンチャゴ・デ・コンポステーラに着いた巡礼者たちがホタテ貝を食べ、貝殻を記念に持ち帰ったなど、諸説あるようです。内部は図書館になっていますが、それ以外の部分は見学できます。

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貝の家。壁にたくさんのホタテ貝の彫刻が取り付けられている。

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貝の家の内部。1階は図書館になっている。

繊細で華麗な大学正面の彫刻


 次はサラマンカ大学です。古い建物が並ぶ路地を入って行くので分かりにくく、少し迷った後に到着。

 大学の正面にはプラテレスコ様式と呼ばれる装飾が施されたファサードがあります。プラテレスコとは銀細工のような繊細で華麗な装飾のことで、16世紀のスペインル・ネッサンス期に教会や大学のファサードなどに施されました。中でも、サラマンカ大学のファサードは装飾の繊細さと複雑さで知られています。目を引くのは、三段に分かれた彫刻のうち下段中央に彫られたカトリック両王の像でしょう。

 また、この中にある複数の骸骨のうちの一つに蛙が乗っているのですが、これを見つけた者は学業が成就するという言い伝えがあります。これを探すのはかなり難しいのですが、時間があれば挑戦してみるといいと思います。ファサード前の広場にいる土産売りのおばさんに聞けば見つけられると思いますが…。

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サラマンカ大学の華麗なファサード

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蛙が乗った骸骨を見つけるといいことがあるかも…。

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大学の広場。左奥の入り口を入ると中庭があり、語学留学生のための施設もある。

スペインのオレンジジュースは美味しい!!


 この日も天気が良く、気温も比較的高かったため喉が渇きました。大学近くの道を歩いていると、学生らしき若者たちがたむろするバルがあったので入ってみました。石造りのかなり古い建物で、店の中はかなり広く、薄暗い洞窟のようです。普通のバルとは雰囲気が異なり、大学の生徒や職員などが休憩や軽食に利用している感じがします。私たちは喉が渇いていたので、カウンターでオレンジの生ジュースを注文しました。

 スペインではオレンジの生ジュースがよく飲まれるのですが、バルなどには丸ごとのオレンジを絞る専用の機械が置かれています。ミキサーではなく、オレンジをゆっくりすり潰すように絞るのです。100%オレンジジュースですし、スペインのオレンジは甘いので、このジュースが本当にうまいのです。

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多くのカフェやバルにあるオレンジ絞り器。オレンジが丸ごと入っている。

コロンブスが宿泊したサン・エステバン修道院


 次はサン・エステバン修道院です。この修道院のファサードもプラテレスコ様式の華麗な彫刻が特徴です。これだけの見事な彫刻は他ではなかなか見られません。また、ここはコロンブスが航海術や天文学を学ぶためにサラマンカ大学通っていた際に宿泊していた場所ということです。

 修道院は内部も公開されています。ここはチュリゲラ様式の発祥の地でもあり、内部の礼拝堂にあるチュリゲラ様式の見事な装飾が施された祭壇が見どころです。

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サン・エステバン修道院のファサード

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チュリゲラ様式の祭壇

街が綺麗に見える場所へ行く


 ここから南に向かい、街の前を流れるトルメス川に架かるエンリケ・エステバン橋を渡ります。一旦、街の外に出るのは、サラマンカは川の対岸から見たほうが美しいからです。橋を渡った所から川沿いに西に歩くと、川面に映るカテドラルなどの街の景色が綺麗に見える場所があります。ここから見る景色も、スペイン随一だと思います。
 さらに歩くと、ローマ時代に作られた石造りのローマ橋があります。この橋は歩行者専用になっていて、風情があっていいのです。

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サラマンカはきれいな街だと思う。

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ローマ時代の橋を渡って市内に入る。

カテドラルの屋根に上る!


 ローマ橋を渡って市内に戻ると、カテドラルに向かいます。ここのファサードもプラテレスコ様式の傑作とされていますが、これだけ彫刻を見ると、エストイ・アルト(もう十分)という感じになります。カテドラルの内部に入るには入場料が必要です。観光地ですから仕方ありませんが、ここでは内部に入らず、カテドラルの屋根の上や塔に登れるイエロニムス(IERONIMUS)に行くことにしました。

 カテドラルの横にある小さな入り口から中に入ると、エレベーターで建物の上に登っていきます。最初は新カテドラル横のテラスに出て、そこからゴシック様式の見事な建築物を間近に眺めることができます。そこから、屋根の上を渡り、カテドラル内部の身廊や主祭壇を天井近くから眺めたり、鐘が吊るされた塔の内部に入ったりできるのです。

 見学ルートとして整備されているわけではなく、保守作業をする人が使うような通路を伝って高い場所を移動するのでスリルがありますし、高所恐怖症の人にはきついかもしれませんが、高いところから見る景色は綺麗です。入場料は3.75ユーロですが、その価値は十分にあると思います。

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カテドラルに向かう細い道

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カテドラルのファサードもプラテレスコの傑作。

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イエロニムスに行くと身廊上部から主祭壇を見ることができる。ちょっと怖いけど…。

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カテドラル上部のテラス

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抜群の眺望が楽しめる。

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カテドラル上部の構造物が近くで見れる。

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鐘楼にも登れる。

 改めてサラマンカの街を見ると、見応えのある場所が多く、スペインの他の有名な観光地と比べても負けていない感じです。世界中から学生が集まる街ですから、比較的物価も安く、おいしい料理やタパスを出すレストランやバルも多いのです。
 昔、ここに住んでいた時には、町外れの汚いアパートに住み、中心部の学校に通っていました。通学路を歩いていると、古臭くて、寒くて、暗い街だとしか思わなかったのですが、観光で来ると印象は変わるものです。

 やはり、この街は観光客として来るのがいいと思いました。

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教会の屋根ではコウノトリが巣を作って子育てしていた。

 

芸術都市ビルバオへ行く! スペイン旅行記⑳

 2019-06-26

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近代的なビルとクラシックなビルが共存するビルバオ

サン・セバスチャンからビルバオへバス移動


 今日は、バスク地方の主要都市であり、近年の都市創造事業の成功によって注目を浴びているビルバオに向かいます。

 サン・セバスチャンからビルバオまではバスで1時間半ほどです。バスの本数も多いため事前にチケットを購入する必要はないだろうと思ったのですが、最初にいつものALSA社の窓口に行くと、次のバスは満席と言われました。
 窓口の係員が「急いでいるなら他社のバスにしな」と言うので、隣に窓口があるPESA社に行くと、「あと5分で発車」と言います。すぐチケットを購入してプラットフォームに向かうと、待っていたバスに乗車しました。車内はほぼ満員。自由席のため私たちはそれぞれ空いていた席に離れて座りました。やはり、チケットの事前購入は必要と痛感しました。

 バスは無事にビルバオのバスターミナルに到着。現在、バスターミナルは工事中らしく屋根もない駐車場のような所にバスは停まりました。

 ターミナルがあるのは街の西側に当たるサン・マメスという地区です。近くに、地元のサッカーチームであるアスレティック・ビルバオの本拠地となっているサッカースタジアムがあります。

 ホテルはこのスタジアムのすぐそば、ターミナルからは歩いて5分ほどのところにありました。その名も、ホテル・サンマメス。スタジアムでサッカーの試合が行われる時にはファンで一杯になるでしょうが、5月上旬のこの時期は閑散としています。ペンションレベルのホテルですが、設備は整っており、部屋も清潔で悪くないです。

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ビルバオの仮バスターミナル。新しいターミナルは間もなく完成する。

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サン・マメス・スタジアム


路面電車トラムに乗る!


 ビルバオの見どころは、ビルバオ・グッゲンハイム美術館を中心とした都市創造プロジェクトによって開発された地域です。
 かつて、ビルバオは鉄鋼業や造船業が盛んで、スペイン北部の中心的な工業都市として発展しました。ところが、1980年代に入ると産業が衰退し、深刻な経済状況と社会不安を引き起こしたのです。こうした状況から街を救うために計画されたのがアートを中心とした都市創造プロジェクトであり、その先駆けとして建設されたのがグッゲンハイム美術館でした。

 サン・マメスからグッゲンハイム美術館までは歩いて行くには少し遠いのです。地下鉄やバスもありますが、最も便利なのはトラムと呼ばれる路面電車です。このトラムも都市創造の一環として地下鉄などと共に整備されたもので、電車のデザインが美術館周辺の近代的な風景にマッチしています。
 サン・マメスの停留所に行くと、ホームに切符の販売機があるので電車を待つ間に切符を購入しました。トラムの料金は1回1.5ユーロ。さらに、その切符を販売機の隣にある改札機に挿入し、使用した時間を刻印しておきます。これをしなければ切符を使い回しできそうですが、途中で切符のチェックがあった場合に無賃乗車とされて罰金が科せられるそうです。

 電車に乗って約10分でグッゲンハイム美術館近くのグッゲンハイム停留所に到着しましたが、乗り越して次のウリビタルテ(Uribitarte)で下車。この停留所のすぐそばに、スペインの著名な建築家が作った独特なデザインのスビスリ橋があります。歩行者専用のそれほど大きくない橋ですが、湾曲した支柱と吊り橋のようなワイヤーが面白いデザインになっています。


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独特なデザインのトラム

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こちらも独特なデザインのスビスリ橋


多くのオブジェが置かれているグッゲンハイム美術館


 スビスリ橋からグッゲンハイム美術館に向かうと、美術館の敷地内に様々な彫刻などの芸術作品が置かれています。その中には、六本木ヒルズの庭にも置かれている「ママン」という巨大な蜘蛛のオブジェや、日本人女性芸術家による「霧の彫刻」という、霧を使ったパフォーマンスなどがあります。

 グッゲンハイム美術館は外から見ても巨大な建造物ですが、内部も非常に広く、世界各国の芸術家による数多くの近代アートが展示されています。ヨーロッパの有名美術館の展示は、ルネッサンスから印象派にかけての絵画作品群が中心となっており、なじみがあるために見ごたえも感じます。一方、近・現代の芸術は絵画だけではなくオブジェや映像を含めて幅広く、難解な感じで、見ていてもちょっと疲れました。

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グッゲンハイム美術館は金色に輝いている

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巨大な蜘蛛のオブジェ「ママン」

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定時になると霧が吹きだす、日本人芸術家の作品「霧の彫刻」

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美術館の内部は広い

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廃墟のビルバオを思わせる展示作品


シンボルの「パピー」は檻に入っていた。


 最後に、グッゲンハイム美術館のシンボルともいえる芸術作品「パピー」を見るため、玄関横のテラスに向かいました。高さ12mの子犬の形をした骨組みに色とりどりの花を植え込んだもので、ビルバオ市の象徴ともなっています。
 しかし、この時は巨大な足場で子犬が囲まれていました。花の植え替え作業の最中だったのです。残念ですが、こうした変化も芸術の一面として見れば、面白い風景と言えます。

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檻に入れられた「パピー」。よく見えない…。


 曇り空の下で光を放つ巨大な美術館を振り返ると、アートを都市創造の核に据えるというのは素晴らしいアイデアだと感じます。この建物は「現代建築で最も称賛されるべき作品のひとつ」と評価されているそうです。なにしろ、この美術館の成功によってビルバオの名は世界に知られるようになり、サン・セバスチャンよりも多くの観光客を集めるまでになったのですから。

 古いスペインだけでなく、ビルバオのように新しいスペインの躍動を感じる街が、日本でももっと注目を集めるようになってほしいものです。

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街の中心部、ネルビオン川の岸で輝く美術館の建物


フランス国境の歴史都市オンダリビアへ行く! スペイン旅行記⑲

 2019-06-23

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オンダリビアの旧市街


フランス国境の城塞都市へ!


 宿泊先のホテルの女性経営者が「絶対に行った方がいい!」と勧めてきたのが、フランス国境に位置する歴史都市オンダリビアでした。そこで、冷たい雨が降る朝、出かけてみました。
 オンダリビア行きのバスはカテドラルの近くにあるギプスコア広場から出ています。観光には向いていない日でしたが、路線バスは観光客を中心にほぼ満員でした。

 サン・セバスチャン空港を経由して約40分でオンダリビア中心部のバス停に到着。雨の中を港があるマリーナ地区に向かいました。
 ビスケー湾の入り江に面した港には人気がほとんどなく、黒い雲が垂れ込めた寒々とした風景が広がっています。対岸にはフランスの町アンダイエが広がっており、数人の客を乗せた連絡船が海上を走っていました。少し前のテレビ番組で女優の石原さとみが乗ったボートです。

 景色はきれいですし、晴れていればフランスまで行くこともできますが、雨では長居をする気にはなりません。早々に城壁の中にある旧市街に向かいました。

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港から入り江を望む。向かいはフランス。

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オンダリビアのマリーナ地区。フランス行きのボートがある。

雰囲気のいい城と家々


 海岸側の道路から坂を上って城壁内に入ると、周囲に古い家が立ち並ぶアルマ広場があり、現在はパラドールになっているカルロス5世城もあります。

 オンダリビアは古くから周辺国にとって戦略上、重要な位置にあったため、この城塞は何度も包囲軍との戦いを経験したそうです。城としては小さく、カルドナ城のように難攻不落という感じはしませんが、苦闘の時代を経た重厚な石造りの館をよく残していて、雰囲気がいいです。

 このアルマ広場を中心に城壁内の狭い範囲に独特のデザインの古い町並みが集中しています。石畳に街路を歩くと、フォトジェニックな場所がたくさんあって楽しいです。昼近くになって雨も上がり、古い時代にタイムスリップしたかのような街歩きを存分に楽しめました。

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旧市街は城壁の中にある。

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アルマ広場と周囲の家々。左側にカルロス5世城がある。

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パラドールの中のカフェ。誰でも利用できる。

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独特のデザインの家が並ぶ

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雰囲気のいい通りが多い

レベルが高いレストランに感動


 昼はマリーナ地区にある有名な海鮮レストランに行くことにしていました。天気が悪い日なのでそんなに客はいないだろうと思っていたのですが「満席」と断られました。どうやら、団体客が予約をしていたようです。オンダリビアでは一番の有名な店ですから仕方ありません。

 そこで、店を探した結果、YOLA BERRIというレストランに入ってみました。店内には10人くらい座れる長いテーブルがいくつかあり、カウンターにピンチョスが並んでいます。
 「ここ、バルだよね…?」と思いながら、ウエイターに「定食はないの?」と聞くと、「食事なら地下に行って!」と言われました。

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たまたま入ったレストランだが、かなり有名な店だった。

 そこで階段を下りてみると、少し狭いですが、白いクロスがかかったテーブルが並ぶいい雰囲気のレストランになっていました。

 定食は飲み物とデザートの他、二つの皿を数種類の料理から選ぶようになっています。一番目の皿は、私がアスパラガス、妻はエビのサラダ、二番目の皿は二人とも定番のメルルーサを選びました。

 少しして出てきた一番目の皿を見て驚きました。高級フランス料理と言ってもおかしくないほど洒落ているのです。アスパラガスはハムで巻いて火を通し、生野菜が添えてあります。エビのサラダは生野菜とマヨネーズ和えサラダの上に焼いた手長エビが乗っています。これが、昼の定食で食べられることにちょっと感動しました。二番目の皿のメルルーサも美しい盛り付けです。味はもう文句のつけようがありません。

 最後のデザートはプリンでしたが、これも手作り感があって美味しかったです。
 これで値段は一人分税込みで16ユーロ(約2000円)ですから、スペインの昼の定食としては少し高めという程度。バスクの美食の伝統はこういうところにまで浸透しているのかと思いました。

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一番目の皿、アスパラガス

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一番目の皿、エビのサラダ

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二番目の皿、メルルーサ

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デザートのプリン

 美しい街と美味しい料理に出会い、雨の中をバスで出かけてきた甲斐がありました。旅行の醍醐味は、「知らない街で思いがけないことに出会うことだ」と改めて感じた一日でした。
 

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