メキシコで闘牛に裸の抗議
2010-02-11
2月6日、メキシコシティのメキシコ国立芸術院の前で、動物愛護団体「アニマ・ナチュラリス(Anima Naturalis)」のメンバーたちが闘牛に対する抗議行動を繰りひろげ、下着1枚になった大勢の男女が路上に横たわったというニュースがありました。写真は、アニマ・ナチュラリスのホームページに掲載されているものですが、血糊を身体に塗り、闘牛に使うモリを身体に刺した姿はなかなかショッキングです。AFPニュースが配信している写真では、国立芸術院の前に100人ほどの人たちが裸で横たわっている様子も見ることができます。

このグループは、昨年の3月にコロンビアのボゴタ、今年1月にはコロンビアのメデジンで同じように、裸で闘牛反対運動を繰り広げています。
コロンビアのメデジンでの闘牛反対活動
実は、スペインでも、特にカタルーニャ地方を中心に闘牛反対運動が盛り上がっており、一時は闘牛が廃止されるのではないかとも言われました。その裏には、隣国フランスなどからの動物虐待批判が強くなっていることや、闘牛自体の入場客が減少の一途を辿っていることがあります。今では、闘牛をよく理解していない日本人やロシア人などの外国人が、スペイン闘牛を支えるいい顧客になっているということらしいです。
私も、スペインに行く前は闘牛に興味を持ち、有名闘牛士を紹介した本などを読んだこともありました。また、以前、ディズニーだったと思いますが、闘牛の牛と子供の交流を描いた映画を見て感動し、闘牛が悪いことだとはまったく思っていませんでした。
ところが、スペインで実際に見た闘牛は、私のイメージとは全く異なったものでした。映画のストーリーでは、子供と心を通わせた牛が闘牛場に引きずり出されるのですが、闘牛士相手に奮戦し、それを見た観客が牛の命を助けろと言うのです。それにより、牛は助かり、子供とともに牧場に帰っていくというものでした。
しかし、実際の闘牛ではそんなことはありえません。闘牛の牛は、できるだけ人間とは接触させず、荒々しい野生の本能を失わないように育てます。その身体能力は凄まじく、人間がそのまま立ち向かえば非常に危険で、それこそ闘牛士は命がいくらあっても足りないのです。
そこで、闘牛場では、最初に牛の力を削ぐことに力を尽くします。プロテクターをつけた馬に乗った男たちが槍で牛を突くのです。この槍はあまり深く刺さらない仕掛けになっていて、牛が死にかけるほど弱るのを防ぎます。しかし、槍で突かれた牛はかなり力を失い、フラフラになりますから、それでは闘牛士が対峙しても面白くないのです。そこで、カラフルな装飾を施したモリを何本も牛の身体に打ち込みます。
これは、牛に痛みを与えて、一時的に興奮させ、元気にさせるために行うのです。その後で、闘牛士が布を振って牛をあしらいます。そして、頃合を見て、剣で刺し殺すのです。これでは、どんな牛でも闘牛士に勝つのは不可能です。つまり、闘牛士は99.9%の安全を確保してショーを行うのです。それでも事故はおこりますが・・・。
私が見た闘牛では、闘牛士が登場するころには牛が立っていられないほど痛めつけられるケースもありました。血だらけの牛が前足を折ってヘタリ込み、動かなくなってしまうのです。これは、あまりにもひどいやりかただということで、観客が盛んにブーイングをしていましたが・・・。
この経験から、こんな血なまぐさい闘牛は二度と見たくないと思いました。ですから、アニマ・ナチュラリスの行動はよく理解できます。
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