エクアドルのコレア大統領来日とヤスニ-ITT
2010-08-19
南米エクアドルのラファエル・コレア大統領が9月6日(月)~7日(火)に来日しますが、この機会に、現在エクアドル政府が進めている「ヤスニ-ITTイニシアティブ」を一般に広めていくためのイベントが東京と京都で開催されます。周知のように、現在の南米諸国は多くが左派政権になっていますが、エクアドルのコレア政権も左派です。大統領自身は自分を「キリスト教左翼人道主義者」と称しているようですが、IMFなどが進める新自由主義経済を否定し、ラテン諸国の政治経済支配を強化しようとする米国とも対決姿勢を示しています。
そんなコレア政権が打ち出した画期的な自然保護プロジェクトとして注目を集めているのが「ヤスニ-ITTイニシアティブ」です。これは、エクアドルのアマゾン地方に位置するヤスニ国立公園における石油採掘を放棄する代わりに、各国の政府などに環境保全のための信託基金への拠出を求めるというものです。
ヤスニ-ITTの説明ビデオ(英語)
エクアドルはOPEC(石油輸出国機構)加盟国であることからもわかるように、石油輸出が経済の柱となっている国です。しかし、石油採掘はアマゾンなどの内陸部で行われているため、熱帯林などの環境破壊が進み、周辺住民の健康被害も増加しています。環境や住民の健康を守るには石油の採掘を控えることが望ましいのですが、それでは国の経済が立ち行かなくなります。そこで、アマゾンの豊かな環境を守るために石油採掘をしない代わりに、石油採掘した場合に得られる利益の半分を世界各国に負担してもらうという提案を行ったわけです。
今年の8月3日には、エクアドル政府と国連開発計画(UNDP)とのあいだで、ヤスニ-ITTに関する信託についての調印が行われ、ヤスニの自然保護のために世界各国から資金を集める計画が前進しました。エクアドルは、日本政府に対してもヤスニ-ITTイニシアティブへの参加を求めており、コレア大統領が来日した際には、管首相に要請するものと思われます。
アマゾンというのはブラジルだけでなく、ボリビア、ペルー、コロンビア、エクアドルといった国々に広がる広大な熱帯林地帯ですが、各国とも開発を進めているため、環境破壊の進行は驚くほどの勢いで進展しています。その一部であるヤスニは、9万8000ヘクタールの広さがあり、1ヘクタールあたり10万種の昆虫、150種の両生類、121種の爬虫類、4000種のシダ・種子植物が存在するという、自然の宝庫です。これはエクアドルだけでなく、世界全体の貴重な自然遺産ですから、各国が協力してこれを守るのは当然のことだと言えるのではないでしょうか。
◆コレア大統領来日に際してのイベント(学習会)は次の通り。
●京都
日時 9月5日(日) 午後2-5時
シンポジウム「ヤスニ計画:アマゾンの自然を守る逆転の発想」
コレア大統領来日にあたって
場所:京都・「かぜねの」 京阪・出町柳駅から徒歩すぐ
実行委員会連絡先:yasuni@attac.jp
●東京
日時 8月21日(土)19:00~
エクアドル・コレア大統領来日!
持続可能な社会に挑戦するエクアドルに学ぶ実行委員会(仮)
場所 ATTAC首都圏 事務所
住所 東京都千代田区神田淡路町1-21-7静和ビル1階A
TEL/FAX:03-3255-5910(共同回線)
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