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バルガス・ジョサ、インターネット批判を展開

 2010-12-08
 ノーベル賞の受賞式出席のためスウェーデンを訪れた作家のマリオ・バルガス・ジョサ氏が、昨今のインターネット全盛を嘆いたという記事が現地紙のネット版に出ていました。

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 ジョサ氏は「インターネットによる急速な情報の消費が人々思考の深化を妨げ、文化に対しても大きな問題を引き起こす」と述べ、さらに「オーディオビジュアルの革命は技術的な視点からは優れているが、それによって長期的なビジョンの喪失と基本的な問題に対する深い憂慮がもたらされた」と語ったそうです。

 たしかに、ネットは非常に便利である反面、知らないうちに情報の洪水に流されてしまい、重要な問題を深く考えることがおろそかになるという側面はあると思います。ネットには、短い細切れの情報を大量に流していくという特徴がありますから、ある問題を深く掘りさげて伝えるのは得意ではありません。自分の思考を深めることで複雑な物語を構成していく小説家から見ると、こういう表層的な情報の洪水の中で生きる人たちとその社会の未来に不安を感じるのはやむをえない事だと思います。

 ただ、こうしたネット批判は、かってテレビの普及によって日本人が全員バカになると考えた有名ジャーナリストのことを思い起こさせます。新しいものが普及し始めると、それに対して「問題だ、危険だ」といいはじめる人が出てくるものですが、実際の社会はそれを受け入れ、それなりに消化していくわけです。それによって多少は社会がおかしくなることがあるかもしれませんが、他方で大きなメリットももたらされるわけです。

 ジョサ氏のこういう発言は、老人になったことを証明しているようでちょっと悲しいですね。やはり、人は年齢には勝てないということでしょうか。

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