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メキシコの大作家カルロス・フエンテスが死去

 2012-05-17
 メキシコを代表する作家であるカルロス・フエンテスが15日メキシコ市内の病院で死去しました。83歳ということで、いい歳なのですが、世界的なラテンアメリカ文学ブームをけん引した作家がまた一人いなくなったと思うと寂しいですね。


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「スペイン語の作家の中で最も輝いた一人であるカルロス・ファンテス」というタイトルの記事


 ラテンアメリカ文学の有名作家の中ではカルロス・フエンテスは日本ではあまり知られていないと思います。ガルシア・マルケスやバルガス・ジョサなど、文学以外でも派手な話題を振りまく作家たちとは異なり、結構地道な活動を続けてきたからでしょう。

 母国メキシコでは当然ながら大作家ですが、やはりファン・ルルフォやオクタビオ・パスといった有名文学者の陰に隠れたような感じを受けました。1985年に発表した「老いぼれグリンゴ」がハリウッドで映画化されましたが、この作品が特に優れているという感じはしません。

 私がカルロス・フエンテスを知ったのは、メキシコのUNAM(国立自治大学)で講義を受けた文学クラスで研究対象だったためです。それまでは名前くらいしか知らなかったこの作家の本を何冊か読みましたが、他のラテンアメリカ文学に比べてわかりやすく、非常にノスタルジックな作風が気に入ったものです。

 カルロス・フエンテスは文学者であるとともに外交官でもあり、国際情勢にはかなり詳しかったと思います。小説の中に日本人が登場するものがあり、外国の一般的な作家とは違って日本に対する理解がかなり深いという印象を受けました。

 メキシコにいた時、一度だけ講演会でカルロス・フエンテスの話を聞いたことがありました。一緒に出席したガルシア・マルケスと共に、ヨーロッパを旅行した時のことを楽しげに話していたのが印象に残っています。

 私にとって、特別なラテンアメリカ文学者であったのは間違いありません。

  合掌。



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