北のマチュピチュと呼ばれる空中城塞クエラップ
2013-02-05
ペルー北部の主要都市チクラヨから内陸部へバスで10時間、アマゾナス県の県都チャチャポヤスにやってきました。ここは、もともとチャチャポヤスと呼ばれる文化が栄えていましたが、インカ帝国が侵入して征服。その後、スペイン人が征服してコロニアル都市を築きました。従って、この街も比較的コロニアル形式の町並みが残されています。アマゾン奥地の秘境と言われる場所だけに、奥地感のある寂れた街かと思ったら、意外に整備された大きな街でした。

丘の上からチャチャポヤスの街を望む
中央広場に面した安宿の兄ちゃんに引かれてそこに宿泊。「明日、クエラップに行きたい」と言うと、ツアーの手配をしてくれました。クエラップはこの街最大の観光地ですから毎日ツアーが出ているようです。
クエラップはチャチャポヤス文化の要塞都市で、北のマチュピチュと呼ばれています。最近になってその存在が注目を集め始め、日本のJICAは、クエラップなどを含むチャチャポヤスの観光開発に対する国際協力を進めています。
素晴らしい遺跡だとは聞いていましたが、本当かどうか、期待半分、疑い半分で出かけました。
ツアーの一行は、二人の中国人女性、一人のドイツ人女性、三人のペルー人家族です。この周辺は、休暇を利用してやってくるペルー人の観光客がかなり多いのです。
ツアーの車は山奥にどんどん進んでいきます。太古の地層がむき出しになった巨大な岩山が並ぶ地形で、山腹にジグザグ道路がどこまでも続いています。車の助手席に座った私にはその景色がよく見えます。日本の山岳にはない、壮大な光景には驚かされました。
途中休憩しながら2時間ほど山道を走り、クエラップの近くにある遺跡の入り口に着きました。ここから遺跡まで1kmちょっとです。私たちが並んで取り付け道路を歩いていくと、クエラップ遺跡が正面に現れました。マチュピチュと同じように山の上にある遺跡なのです。その山は標高3000mもあり、マチュピチュがある山とは比べものにならないくらい大きいのです。

山中の道路を1kmほど歩くとクエラップが見えてくる
クエラップの見所は巨大な城壁です。高さ30mほどあるほぼ垂直の石垣が600m以上残されていて、壮観な光景を見せています。これを見ると、マチュピチュと違って、明らかに外敵の侵入を防ぐ目的で作られた城塞都市ということがわかります。

巨大な城壁が延々と続いている
石垣に囲まれた城内に入るには何本かある通路を伝います。人一人か二人が通れる細い通路の両側は高い石垣になっていて、敵が侵入すると上から石を落として殺すようにしたといいます。
城内には4000人ほどが生活していたそうで、円形の住居跡がいくつも残されています。そのうち一つは、藁葺き屋根をもつ復元した住居になっています。屋根は高さ10m以上あるとんがり帽子の形で、おとぎの国の家みたいです。屋根が高いのは室内で煮炊きをするため部屋に煙がこもらないようにしているのだということです。

円形住居の跡と周囲の光景
この城塞都市は結局インカ帝国に征服され、チャチャポヤスに代わってインカ人が住むようになります。インカの住居はマチュピチュに見られるように四角い形に作ります。このため、丸い住居を壊して四角い形に作り替えた、インカ式の住居跡も残っています。
全体的に見ると、マチュピチュはコンパクトで絵になる場所が多いのですが、クエラップは単調ですが壮大な感じがします。また、山上の空中都市で周囲の景観が素晴らしいのは同じですが、クエラップの景色のほうがマチュピチュをはるかに凌ぐ壮大さがあります。
この時期のアマゾナスは天気が変わりやすく、雨もよく降るのですが、この日は本当に天気が良く、私たちは遺跡の前の広い芝生に寝ころんで暖かい太陽の光を楽しみました。
ドイツ人女性が「マチュピチュよりこっちのほうがいい。こんなに景色がよくて気持ちがいいところあまりない。マチュピチュは観光客が多すぎて行列を作って見るんだからどうしようもないわ」と感想を言います。
私も同感でした。ただ、それは天気しだいだと思います。マチュピチュは雨でもそれなりに雰囲気が出るし、周辺の施設が整っていることも有利です。しかし、クエラップは歩く距離が長いし、周辺施設が整っていないため雨が降ると大変です。なにより、壮大な周辺の光景が見れないと魅力は大きく損なわれるでしょう。
私たちは好天で運が良かったと言えます。ガイドは「前日は曇りで一時雨も降った」と言っていました。
ここで、同行の中国人女性二人が「ここから歩いて山を下りたい」と言います。車が通る道路はかなり遠回りをして深い山の中を走るため、歩くと2時間半くらいで麓の村に着けるというのです。
私も誘われましたが、明日もツアーがあるし、2時間半山道を下る自信はありません。ほかの人たちもパスし、彼女たちはガイドと3人で山を下りました。私たちは、一足先に車で村まで降り、昼食をとりながら待ちました。ちょっと遅れたものの、彼女達は無事に降りてきました。感想を聞きたかったのですが、二人は英語と中国語しかできませんでした。
チャチャポヤスの街からは様々なツアーが出ていて、山中の断崖に置かれたチャチャポヤス文化の人型の土器である「カラヒアの棺」は有名です。しかし、人気のクエラップ以外のツアーは毎日あるとは限りません。ツアー会社に聞くと「明日はゴクタの滝ツアーしかない」と言います。
仕方なく、ゴクタの滝ツアーに参加しましたが、これがなかなか良かったのです。
この滝は落差が771mあり、世界第三位の高さだそうです。滝に行くためには、山道を片道2時間半も歩かなければなりませんが、その苦労は壮大な滝が落ちる滝壺まで到達すると報われます。周囲は世界一位のエンジェル・フォールズとよく似た地形で、素晴らしい大自然が堪能できました。ただ5時間以上の山歩きに加え、突然の天候変化による雨で、参加者は皆ずぶ濡れになりました。

ゴクタの滝
次はクスコに向かいます。
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