フリオ・コルタサル生誕100周年記念シンポジウムに行ってきた。
2014-09-16
昨日、セルバンテス文化センター東京で開催された、「フリオ・コルタサル生誕100周年記念シンポジウム」に行ってきました。
講演中の作家 池澤夏樹氏(右)
フリオ・コルタサルはアルゼンチンの有名な作家で、世界的なラテンアメリカ文学ブームのけん引役の一人でした。ただ、代表作の長編小説「石蹴り遊び」が、実験的で非常に難しい作品であるため、とっつきにくいというイメージが強いですね。
私などは、「石蹴り遊び」を読み始めて5分で挫折しました。このため、この小説をあきらめて彼の短編小説を読んだのですが、こちらは面白かったという記憶があります。
今回のシンポジウムでは、ゲストスピーカーとして小説家の池澤夏樹氏が講演をしましたが、彼も「石蹴り遊び」は読んでいないそうで、「コルタサルは短編小説家だ」という考えを披露していました。
ところで、コルタサルと言えば、20年ほど前、メキシコシティで没後10年の記念シンポジウムが開かれました。この会には、驚くほど大勢の人が集まり、当初はメキシコ芸術院の一室で小規模な会を催すつもりが、急きょ、オペラを上演する大ホールでの開催となりました。
これは、コルタサルの名前だけでなく、ゲストがガルシア・マルケスとカルロス・フェンテスという、考えられないような大物だったことが大きいでしょう。それにしても、このような会が盛大に開かれるのですから、コルタサルがメキシコで愛されているのは間違いないでしょう。
なぜなのか、理由はよく分からないですね。日本にしても、ラテンアメリカの有名作家は数多いのに、なぜコルタサルなのでしょう。私の知る限り、アルゼンチンの大作家ボルヘスやプイグについてのこのような会は聞いたことがありません。
日本についていえば、ボルヘスやプイグは数多くのファンがいる有名作家ですが、コルタサルはそこまで知られていません。最近、複数の出版社から彼の翻訳本が出されたため、認知度を上げて本を売るというのが目的かもしれませんね。
いずれにしろ、こういう会が開かれるのはいいことです。会に参加しただけで、また、コルタサルを読みたくなりました。ただ、シンポジウムの内容は、海外の研究者や小説家などが登場した割には、まじめにどうでもいい話を延々と続けるという感じで、退屈でした。文学の研究者ではなく、きちんとした人が会の構成を考えなければだめなのですが、そこまでは期待できないのがマイナーな催しの現状ですね。
一方、セルバンテス文化センターはこうした催しを頻繁に行っており、内容はかなり魅力的です。ラテンアメリカ関係だけでも以下のようなような催しがあり、いずれも無料(予約必要)で参加できます。時間があれば是非どうぞ。
9月25日 メキシコ映画試写会 「マルタのことづけ」
10月2、3日 ドキュメンタリー上映 「比類なき国ベネズエラ」
10月11日、31日 コロンビア映画上映会 「ラ・レクトーラ/読者」
10月20日 キューバ文化の日
10月22日 ドキュメンタリー上映と講演 「ベネズエラとベースボール:ラミちゃん」
11月1日 死者の日
11月3日 サヤ・カポラルフェスティバル・イン・東京(ボリビアダンス+音楽フェスタ)
11月19~22日 映画・音楽フェスティバル 「ドゥエンデ」
12月4、5日 映画上映会 「エクアドルのニューシネマ」
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