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マヤの巨大遺跡 ティカル

 2015-02-27

 フローレス観光の目玉は、マヤ最大級と言われるティカル遺跡です。

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ティカル遺跡の1号神殿とグラン・プラザ


 私が、初めてティカル遺跡を訪ねたのは35年前。当時、グアテマラは内戦下で、政府軍とゲリラが血みどろの抗争を繰り広げていました。グアテマラシティからのバスのルートは、途中、ゲリラの活動地帯を抜けるようになっていたため、軍による厳しい検問と尋常ではない悪路に一晩中悩まされました。

 ティカルは、大変な苦労の末にたどり着いた未知の遺跡でしたが、密林の中で優美な姿を見せるピラミッド神殿の神秘的な姿に私の気持ちは大きく動かされました。それまで、メキシコ各地の有名遺跡群を見ていましたが、「ティカルとは比べものにならない」とまで思ったものです。

 実は、ティカルは1977年に公開されたジョージ・ルーカス監督の映画「スター・ウォーズ」の第1作に登場しており、海外ではかなり知られた遺跡だったのです。ただ、社会情勢の悪さやアクセスが難しいといった状況のために観光開発は手付かずでした。そうした状況が、その後の中米の和平進展によって大きく変わり、ティカルの観光が盛んに進められました。
 
  私が二度目にティカルを訪れた20年前には、観光開発と遺跡の整備が進み、多くの観光客が訪れるようになっていました。飛行機を使えば日帰りできるため、観光に何の苦労もなくなりました。多くの人にマヤ遺跡の素晴らしさを味わってもらえるのはいいことですし、その分だけ遺跡の神秘性が薄れ、魅力を失っていくとしても仕方ないことです。

 今回は三度目ですから、ハッキリ言ってティカル遺跡には大きな期待はしていませんでした。それより、以前はまったく手付かずだった周辺の遺跡の開発が進んでおり、できるだけ新たな遺跡を訪ねることのほうに重きを置いていたのです。

 
 フローレスからティカル遺跡に行くには、観光会社のツアーバスを利用するのが一般的です。朝早くから数多くのツアーバスが走っていますが、価格はバス代だけで往復100ケッツアル(約1500円)が標準です。これにガイドが付くと150Q程度になります。ただ、この路線は競争が激しいですから、値切ることは可能です。これを知らなかった私は、100Qで往復チケットを買ってしまった上、帰りのバスが来ないというトラブルに見舞われました。そこで、ティカルからサンタ・エレーナまで地元の路線バスを利用しましたが、これは30Qでした。

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遺跡公園の入り口。ここで入園料150Qを払う。


 ツアーバスは、ティカル遺跡公園のビジターセンター前に停まり、そこから徒歩で遺跡に入ります。遺跡群は広大なジャングルに点在しており、要所に掲げられている案内図を参考に目的地を目指します。最初は、ティカルの中心であるグラン・プラザに行くことにしました。

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遺跡へ続く道。右側で入場券を確認する。


 ティカルの主要なピラミッド神殿は6つあり、1号から6号まで番号が振られています。このうち、最もティカルらしいフォルムをしているのが1号神殿。通称「ジャガー神殿」です。グラン・プラザは、この1号神殿と向かいにある2号神殿に挟まれ、北側は北アクロポリス、南側には中央アクロポリスが面しています。

 1号神殿は高さが52mありますが、ティカルでは3号、4号、5号神殿の方が高い建造物です。ただ、ピラミッドがほぼ完全に修復されており、細長い四角推をした独特のフォルムを見ることができます。ピラミッドの正面には上部の神殿へと昇る階段が設けられていますが、下に立つとほぼ垂直になっているのが分かります。以前は、この階段を昇ることができたのですが、以前、観光客が落下して死亡したという事件がありました。そのせいではないのですが、現在は登ることができません。これは、マヤの主要な遺跡で行われているのと同じ、建造物の保護ためです。

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1号神殿を北側から見たところ。


 向かいの2号神殿は、ピラミッドの後方に見学用の階段が設けられており、上部に昇ることができます。ここからは、緑のグラン・プラザに面して建つ、正面の1号神殿の威容と南北両側のアクロポリスが一望できます。

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2号神殿。

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2号神殿の上から見た景色。


 グラン・プラザから西に向かうと、3号神殿があります。ピラミッド部分が土に埋もれそこにたくさんの木が生えています。この状態は35年前とほとんど変わっていません。ただ、そのころは上に登れましたが、今は登頂禁止です。さらに西に向かうと、ティカル最高の建造物である4号神殿に行き着きます。

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4号神殿。樹木が生い茂っている。


 4号神殿は高さが65m弱あります。マヤの神殿というのは、ピラミッド状の基台の上に神殿が乗っている形なのですが、この神殿の上に更に華麗な装飾を施した「屋根飾り」が付くのです。これは板状の飾りですので壊れやすく、神殿の高さが変わってしまいがちです。完全な形の4号神殿は70mを超え、マヤで最も高い建物と言われるエル・ミラドールのラ・ダンタという神殿に匹敵するということです。

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4号神殿に登る取り付け階段。


 4号神殿もピラミッド部分は土に埋もれていますが、脇に見学用の階段が設けられており、上にある神殿の前まで昇ることができます。以前は、階段がなかったので、土に埋もれた斜面に生えている木の枝や根っ子などを頼りに登ったのですが、かなり苦労しました。ここからの眺めは素晴らしく、見渡す限りの樹海の中から、1号と3号神殿の頭部分が飛び出しているのが見えます。スター・ウォーズで使われたのは、ここから見た景色です。

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4号神殿の上から見た景色。


 ここから南に方向を転ずると、ムンド・ペルディード(失われた世界)があります。ここにあるのはティカルで最も古い時代の建造物群で、大ピラミッドの形は、底辺が広い、どっしりとした四角推になっています。建物の形状からメキシコ中央高原の巨大文明であるテオティワカンの強い影響を受けていることがわかるそうです。ここにある二つのピラミッドのうち、大きい方には登れませんが、小さい方には登ることができます。ここからは4号神殿がよく見えます。

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ムンド・ペルディードのピラミッド。こちらには登れない。


 この辺まで来ると、もう疲れてきて見学は終わりにしたくなります。しかし、新たに修復された5号神殿を見るため頑張ります。5号神殿は高さ58m弱あり、ティカルでは2番目に高い建造物です。ただ、1号神殿のようにスレンダーではなく、形がボテッとしています。前回来た時は、まだピラミッド部分が土に埋もれていましたから、今回初めて全体の姿を見たわけですが、あまり感心しませんでした。この神殿の上からの眺めもいいのですが、現在は登頂禁止になっています。

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5号神殿。修復がいけないのか、なぜか味気ない感じの建築物だ。


 ここまで来ると、最後の6号神殿も見たくなります。方向的には出口に近いので、頑張って行くことにしました。密林の中を切り開いた道をひたすら歩きます。途中に、グループGの遺跡群などがあるのですが、特に興味がわかないので通り過ぎます。果てしないと思われる道には観光客も係員も誰もおらず、森閑とした森にホエザルの咆哮が響いているのみです。途中から蚊の攻撃が激しくなり、防虫剤も効きません。動かないと、たちまち蚊が取り付くので、歩みを止めることもできなくなりました。

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森には蝶々も飛んでいる。


 道は、時々分かれたり、合流したりするので、本当に正しいルートなのか心配になります。それでも、途中で「TemploⅥ」という看板を見つけ、また、気を取り直して進みます。森の中を30分ほど歩いて、ようやく6号神殿に到着しました。修復もあまり進んでいない小型のピラミッド神殿ですが、それが神秘的な雰囲気をとどめていてなかなかいい感じです。

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6号神殿。修復されていないが、味がある。


 とにかくティカルは広いですから、まだまだ、見ていないところは多いのです。ただ、やたらと森の中を歩き回ると、迷ってしまい、とんでもないところに行ってしまうことがあります。数日後、再度ティカルを見学した時には、道を間違えて、ティカルの西23㎞に位置するワシャクトゥン遺跡に続く道を30分も辿ってしまいました。途中で、監視員に出会い、バギーでティカルまで戻ることができましたが、冷や汗ものでした。


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タグ : ティカル
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