世界遺産の町プエブラとウルトラバロック
2016-03-18

プエブラの名所。砂糖菓子の家。
メキシコシティから一等バスで2時間かけ、世界遺産の町プエブラにやってきました。
メキシコにはオアハカやクエルナバカなど、世界遺産に登録されているコロニアル都市がいくつもありますが、その規模の大きさと美しさでは他の追随を許さないレベルにあると思います。
実は、35年前に初めてここに来たときは、「美しい町」という印象はまったくなく、古臭く、陰鬱な感じだけが残りました。ところが、2年前に来て見ると、町全体の印象が大きく変わり、多くの建物が華やかで美しい上に、変化に富んだ景観が楽しい町になっていたのです。それ以来、この町が大好きになりました。
今回は、面白みが少ないメキシコシティ滞在の憂さ晴らしと、最近注目の遺跡を訪ねるのが目的です。
町の中心であるソカロ広場までタクシーで来ると、まぶしい陽光の下、大勢の人たちがヨーロッパ風の建物のテラス席で食事したり、涼しげな緑の木陰を散歩したりしています。この町の標高は2100mほどで、2200mのメキシコシティとあまり変わらないのですが、こちらの方が穏やかな気候に感じます。

ソカロ広場に面したテラス席。
宿はソカロ広場から1ブロックのホテル・デル・プラド。外観はスペイン風の老舗感があるホテルで、出入り口の扉には星が5つついています。しかし、値段はツインで6000円ちょっとと安いです。部屋はプールがある中庭に面しており、居心地はよさそう。こういうお得感のあるホテルに安く泊まれるのも地方都市のいいところです。

ホテル・デル・プラドの外観
プエブラの見所の一つが、バロック様式の教会です。妻はそういう豪華絢爛の装飾に興味があるらしく、早速、有名なサント・ドミンゴ教会に出かけました。
キリスト教の聖堂に華麗な装飾を施したのは、元々、スペインなどで盛んになったバロック様式だったのですが、これが植民地時代のラテンアメリカに持ち込まれると、現地の美意識によって更に過剰な装飾になっていきます。中でも有名なのが、オアハカのサント・ドミンゴ教会とプエブラのサント・ドミンゴ教会で、こうした教会の装飾を指すウルトラバロックという言葉も生まれました。
サント・ドミンゴ教会のファサードはいたってシンプルで、装飾もほとんどありません。華麗な彫刻が施されたスペインの教会のファサードを見慣れていると、ちょっと肩透かしを食らいます。

サント・ドミンゴ教会のファサード
しかし、聖堂の中に入ると、豪華な主祭壇や美しい装飾に目を奪われます。ただ、ここではオアハカのサント・ドミンゴ教会ほどの過剰な装飾は見られません。

サント・ドミンゴ教会の内部
大勢の聖人たちが並ぶ主祭壇から左に向かうと、ロサリオ礼拝堂があります。一般的なカトリック教会の礼拝堂は、聖堂内の左右に並ぶ小部屋として作られるのですが、ロサリオ礼拝堂は、独立した聖堂のようになっていて、中央部に据えられた黄金の塔の中心に白いドレス姿のマリア像が置かれているのです。

ロサリオ礼拝堂
その周囲は、壁、柱、天井、上部ドームなどあらゆるところが、精緻な浮き彫り装飾に金箔を施した豪華な造りになっています。また、マリア像が被る冠には様々な宝石がちりばめられているそうです。装飾しすぎると悪趣味になりそうですが、ここにはそんな感じはありませえん。これを作った人たちの純粋な気持ちや神に捧げる情熱が表れているようで、荘厳な雰囲気と共に、その重みを感じます。

一つ一つの装飾が手が込んでいる。
この教会も、過去に2回ほど来ているのですが、特に意識して内部を見なかったのです。そのため、こんなに凄い礼拝堂があったとは知りませんでした。やはり、どこを見るにも、ちゃんと調べておかないとだめだということを、再認識した次第です。
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