サルバドル 遥かなる日々

 2009-03-17
 中米エルサルバドルで大統領選挙が行われ、左派のファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)が推すマウリシオ・フネス候補が勝利したというニュースが報じられました。

 ラテンアメリカ諸国に広がる反米ドミノが波及したということですが、1970年代から80年代にかけて政府軍を相手に激しい内戦を繰り広げ、武力闘争でいったんは敗れたFMLNだけに、その候補が政権の座に就いたというのは感慨深いものがあります。

 このエルサルバドルの内戦を描いた「サルバドル 遥かなる日々」という映画があります。この映画はオリバーストーン監督の最高傑作といってもいいと思います。DVDが出ていますので、まだ見ていないラテンファンは是非見ることをお勧めします。

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 この映画は1981年1月にFMLNが首都サンサルバドルを一斉攻撃した事件を中心に、その前後のエルサルバドルの恐ろしい現実を描き出しています。

 実は、私は1980年末にグアテマラに着き、81年3月にエルサルバドルに入りました。この時、この地域の情勢をまったく把握していなかった私は、平気で旅行していたのですが、バスで一緒になったカナダ人と話をしていて、エルサルバドルではすさまじい内戦が起きていて、多くの人が死んでいると聞かされました。そして、「絶対にエルサルには行くな。死ぬぞ」と忠告されたのです。

 このときのエルサルは、少し前のイラクのような感じだったと思います。しかし、私は知り合いがいて連絡を取っていたので「まあ大丈夫だろう」と入国したのです。実際に、知り合いの家で話を聞くと、1月は本当に大変な状態で、家の近くまでゲリラが侵入してきて政府軍と衝突し、親子三人で死を覚悟したとまで言うのでした。

 3月になると政府軍が勢力を拡大して、ゲリラを街の外にまで押し出したのですが、その時も、夜になると裏山に陣取ったゲリラに対してヘリから機銃掃射したり、ロケット弾を撃ち込んだりする音がひっきりなしに聞こえていました。

 昼間街に出ると、黒焦げになったマクドナルドの店や爆破されて道路をガラスの海にしたビルなどが見られました。ただ、住民は落ち着いていて、カフェに入ると女の子たちが笑顔で騒いでいる様子も見られました。

 その町も、内戦の終結とともに復興が進み、1993年に再びたずねたときには、内戦時の面影もないほど、建物は修復され、にぎやかになっていました。現在は、経済的に難しい状況がありますが、もともと、質の高い労働力を有して繊維産業などが盛んな国だっただけに、うまく経済運営をすれば中米の優等生になる素質を持っているのです。これからの政権がどのように動くか興味を覚えます。


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【2009/03/30 09:08】
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