話題のアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」が14日公開

 2010-08-11
今年のアカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密(El secreto de sus ojos)」の公開が8月14日(土)から、東京のTOHOシネマズ シャンテで始まります。




 近年、ラテンアメリカ諸国の映画には非常に質の高い作品が増えていますが、その先駆けとして名前を挙げることができるのはアルゼンチンのフェルナンド・ソラナス監督でしょう。私も「タンゴ -ガルデルの亡命」「スール/その先は…愛」「ラテン・アメリカ/光と影の詩」といった作品を見て、その優れた映像表現に感動したものです。

 「瞳の奥の秘密」は現在のアルゼンチン映画界で最も注目されているファン・ホセ・カンパネラ監督が制作したものですが、ソラナス監督の特徴である重厚な映像表現を引継ぎ、ブエノスアイレスが持つ独特な情景を見事に表現していると思いました。

 ストーリーは、判事補佐の職を引退した主人公ベンハミンが、過去に起きたある事件を題材に小説を書き始めるところから始まり、その事件の経緯とともに、それに関わる人達の心の奥を描いていきます。内容は事件の真相を暴くミステリー仕立てになっていますが、監督が描きたかったのは「純粋な愛」についてだということです。この物語の中には、妻を殺された夫の愛と、主人公ベンハミンの愛が描かれています。

 私が興味深かったのは、このストーリーがアルゼンチンが暗黒の時代に突入する直前を舞台にしていることです。時は1970年代の中頃、エビータとして有名なエバ・ペロンの夫であったファン・ペロン大統領が死亡し、その妻イザベルが女性大統領になるのですが、軍部との対立によって政治が混乱して行きます。

 映画の中に「正義はない」という言葉が出てきますが、それは、軍部の影響力が日に日に増して行き、裁判所が正義を行うことすら難しくなっていく時代だったのです。そういう時代的な背景が、この映画の中の事件をあらぬ方向に向かわせます。それは、多くの市民が大した理由もなく虐殺された、恐るべき軍事独裁時代の前触れだったのです。

 アルゼンチンの人たちは当然それをよく理解しているはずで、この映画を観ると、正義が行われない社会になる恐ろしさを感じた人も多いのではないでしょうか。

 いずれにしろ、この映画は様々な問題を観客に提起し、見る人の意識によって受け取り方も大きく変わるストーリーになっています。最初は映像の重さに辛くなる部分もありますが、話が進むに従ってストーリーに引き込まれます。不明だった事件の結末が暴かれる驚きもありますが、観終わった後、心に残るものがあるいい映画だと思います。


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