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中米のコスタリカに米国の軍艦が初寄港した問題について

 2010-08-30
中米のコスタリカに、米海軍の大型強襲揚陸艦が初めて入港したというニュースが少し前にありました。


米国の軍艦の寄港を報じる現地のニュース。

 これは、7月2日にコスタリカ議会が米国の軍艦の寄港と国内への米軍兵士の駐留を認める法案を可決したことから、8月21日に先陣を切って米海軍の大型強襲揚陸艦「イオウジマ」がカリブ海岸のプエルト・リモン港に接舷したのです。今後、米軍の艦船が年末までに合計43隻寄港する予定となっています。

 このような軍艦がコスタリカに寄港した上、米軍がコスタリカ国内で活動する目的は、人道支援プログラムの一環ということになっています。例えば、この軍艦には医者が数多く乗船しており、医療設備も整っているために、貧しくて満足な医療施設もないカリブ海沿岸の住民に医療を施そうというらしいです。

 しかし、さらに重要なのは、中米を経由してアメリカに運ぶ麻薬ルートを遮断することのようです。周知の通り、アメリカに流れ込む麻薬の多くは南米のボリビア、ペルー、コロンビアなどから運ばれます。そのうち、飛行機で運ばれるものもありますが、やはり船で運ばれるものの方が多いのです。そこで、これまでアメリカはコスタリカと共同で太平洋側の密輸ルートを叩く作戦を展開していましたが、これからはカリブ海側でも麻薬の密輸船を摘発しようとしているわけです。

 しかし、米軍艦船の寄港や米軍の駐留には、コスタリカ国内でも多くの反対がありますし、域内への米国の影響力が増大することを恐れるベネズエラなども強く反発しています。

 私は、以前、プエルト・リモンに行ったことがありますが、経済的にかなり貧しい地域です。周辺には自然豊かな国立公園があり、ある程度は観光客も来るのですが、その恩恵にあずかれるのはごく僅かです。船でなければ行かれないような、この近くには船でなければ行けない村も多く、まるで、アマゾン奥地の村のように近代社会と無縁の生活をしている人達も多いのです。

 従って、こういう人たちに救援の手を差し伸べるのは重要ですが、それを軍隊が行うとなると、当然、その裏の意図が疑われます。麻薬問題への対応という名目も、十分な理由にはならないのではないでしょうか。

 今、「犬の力」という小説を読んでいるのですが、これがかなり面白いのです。中南米における麻薬密輸業者と麻薬捜査官の30年にもわたる死闘を描いており、去年、かなり評判になった小説のようです。この内容がどこまで実態と合っているかわかりませんが、これを読むと麻薬組織が地域の政治と結びついているために、取締といっても、一筋縄ではいかないことがわかります。

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 本の中では、アメリカ政府は表面上は麻薬対策に力を入れているのに、政府内の別組織が麻薬資金を利用して共産主義の拡大を防止する作戦を展開したりするというストーリーになっています。私は、こういうことはあったはずだと思います。

 そういうことから考えても、人道支援プログラムというお題目でコスタリカに駐留しようとする米軍、あるいはアメリカ政府の意図がどこにあるか、注意深く見る必要があると思います。

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