バリガス・リョサ講演会に行ってきた!!
2011-06-23
昨日、東京大学で開かれたペルーのノーベル文学賞作家バリガス・リョサ氏の講演会に行ってきました。会場となった東大の大教室には開始30分ほど前につきましたが、すでに一般席は3席ほどしかあきがなく、滑り込みでリョサ氏に直接会える席を確保できました。一般席が満席になると、テレビ中継をしている別の大教室に入れられてしまうのです。

講演中のリョサ氏、ひどい手ブレになってしまった。
日本ではラテンアメリカ文学の愛好者はそれほど多くないと思います。しかし、リョサ氏はノーベル文学賞作家であるだけでなく、かつて大統領選挙に出馬してフジモリ元大統領と闘った話題性もある人物ということもあり、ラテンアメリカ関係の幅広い分野の人たちが会場にきていたようです。
司会をした野谷文昭東大教授は、私が立教大学のラテンアメリカ研究所で勉強していた時にラテンアメリカ文学の授業を担当した方です。教室の出入口の人ごみの中に野谷教授の顔が見えたと思ったら、すぐ後ろから銀髪、赤ら顔のリョサ氏が現れました。人ごみの中から突然現れたような感じでした。
講演の内容は、彼が小説を書くきっかけとなった「密林の語り部(El Hablador)」に関するエピソードが中心でした。様々なものが時の流れと共に消えていく中で、そこに生きた人々やそこで起きた出来事を記録していくことの重要性を、アマゾンの密林に住むマチゲンガ族という先住民の伝統を例に出して語ったのです。
また、ニュース記事でも紹介されていましたが、文学の役割については「私たちに確信、知識などを与え、世界に対する見方を豊かにしてくれる。それが変化への原動力になるし、障害を乗り越える力にもなるのだ」といったようなことを言っていました。
私は、これまで何人かのラテンアメリカ文学者の講演を聴いていますが、リョサ氏はその中でも特に洗練されたインテリという感じでした。悪く言えばエリート階級の自信と落ち着きが身についているという感じです。話の内容も非常に真面目で、面白みに欠ける感じでした。もともと、この講演は東大文学部の若い生徒に向けて企画されたもののようですから、一般聴衆を相手にするような話はできないのかもしれません。こういう会だから仕方ないというということにしておきましょう。
以前、メキシコに滞在していたときに、ガルシア・マルケス氏の講演を聞きに行ったことがあります。この時は、フリオ・コルタサルの没後10年ということで、昔の思い出話が中心でしたが、マルケス氏の無骨ではあるが、飾らない人柄に感心した記憶があります。
リョサ氏の講演を聞いて思ったのは、ガルシア・マルケス氏の講演を日本で聞いてみたいということでした。
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