ペルーで先住民への弾圧が起きている

 2009-06-09
 ペルー政府による先住民の弾圧が続いています。

 ことの発端は、今年の2月にペルーと米国の間で自由貿易協定が発効したことにあります。これに先立って、ペルー政府は米国資本が石油開発などを進めるために必要となる、森林開発や先住民の土地の売買を認める国内法である「委任立法法令」を定めました。これによって、自分たちが生活する土地を奪われることになる先住民は反対行動を起こし、道路封鎖や石油施設占拠などを行ってきました。

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現地の情報を伝える「ペルー先住民密林発展協会」のHP

 この行動は、1994年にメキシコと米国の間で自由貿易協定が発効したことに反対して、南部の先住民中心に大規模な抵抗運動を巻き起こした「サパティスタの反乱」と重なります。

 しかし、ペルー政府のやり方はメキシコ政府よりはるかにひどい。
 ペルーでは、5月初旬に非常事態宣が出される一方で、政府と先住民側の組織の対話が行われることになっていました。ところが、アマゾン地方の65部族が参加するペルー先住民密林発展協会(Aidesep)などが全国集会を行っていた6月上旬。ペルー政府は武装警察を投入して先住民を排除する実力行使を行ったのです。
 例えば、アマソニア州のバグアの近くで道路封鎖をおこなっていたアワフン族の先住民に対して、警察はヘリコプターからの銃撃と地上からの銃撃をあわせて行いました。

 警察側は先住民側が先に撃ってきたために応戦したと言いますが、Aidesepのアルベルト・ピサンゴ議長は、「先住民は銃をもっていなかった」と語ったといいます。これによって先住民側は30人以上が死亡したとされますが、はっきりした数字はわかっていません。

 この件に関しては情報が錯綜し、「警官38人が先住民の捕虜となり、このうち9人が殺害された」という警察の発表もあります。政府は情報操作によって、事件の責任は先住民の側にあると国民に印象付けようとしているようです。なお、警察の武力行使に怒った住民がバグア市内の政府機関、警察、政権政党であるアプラ党事務所などに対する攻撃を試みたという情報もあります。

 メキシコの場合も、反乱が起きた当初は大変な混乱が続きましたが、メキシコの知識人たちはこぞって反乱した先住民たちを支持し、この状況を見た政府も強攻策を控えて話し合いをする努力をしました。問題解決には至らなかったものの、先住民は大きな存在感を示し、メキシコ国立自治大学などに大勢の若者や市民たちが集まり、連帯を叫ぶようになったのは特筆に価します。

 ペルーでは、現在も政府による先住民の指導者に対する弾圧が続いており、Aidesepのピサンゴ議長に対する逮捕命令も出ています。メキシコのような国民和解の動きはないのでしょうか。

 アラン・ガルシア大統領は、「事件の責任は先住民や野党指導者のオジャンタ・ウマラ前大統領候補、外国の反ペルー勢力にあると非難した」といいます。

 なんと時代遅れで無責任な発言でしょうか。世界は、なによりも人権を重視するようになっているというのに、フジモリ大統領を人権侵害で告発するガルシア政権の化けの皮がはがれたということでしょう。

 現地の状況についてはAidesepのホームページに写真とともに状況説明がある。ラテンアメリカの人権問題に関心がある人は、是非、見ていただきたい。

 事件に関するAidesepの報告

 ここに掲載されている2009年6月7日の記事の訳。
<たとえ共和国大統領や閣僚たちのすべてが受け入れたくなくても、国家警察による継続的な攻撃は先住民に対する虐殺である。彼らは自分たちの責任を回避するために、罪を先住民たちになすりつけている。ここに、金曜日の朝に行われた攻撃の事実を証明する写真を紹介する。>


 また、この件に関する情報は「開発と権利のための行動センター」のホームページにも掲載されている。ここでも、現場の写真を見ることができる。

 開発と権利のための行動センター

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