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ホンジュラスの大統領が追放。軍のクーデターか?

 2009-06-29
 6月28日。中米のホンジュラスでセラヤ大統領が軍に拘束され、コスタリカに追放されたというニュースが入ってきました。

 軍の責任者で大統領によって陸軍参謀長の職から更迭されたロメオ・バスケス将軍は、この事態を「クーデターではない」と説明しているが、マスコミなどは事実上のクーデターとみているようです。

 下の映像は6月28日にコスタリカに到着したセラヤ大統領が、ホンジュラス国民に向けて「私はホンジュラス人民の大統領である」と話す様子が撮影されています。




 事の発端は、セラヤ大統領が任期切れになる来年1月以降も引き続き政権を握り続けるため、憲法で定められた大統領の再選禁止規定を改正しようとしたことにあります。

 6月28日に憲法改正のために必要な手続である国民投票を行うことになっていたのですが、これに対して軍や裁判所が反対して政治的対立が続いていたのです。また、この国民投票にたいしては野党だけでなく与党からも非難の声が上がっている状況でした。

 南米諸国では、特定の人間が長期間政権を担当することで権力が過度に集中し、独裁体制が構築されるなど様々な問題を引き起こすということで、大統領の再選を禁止する憲法の規定を設けている国が多かったのです。

 ところが、ペルーのフジモリ元大統領、ベネズエラのチャベス大統領、コロンビアのウリベ大統領など、憲法を改正して長期政権を実現するケースが増えてきました。

 当初は保守派と見られていたセラヤ大統領は、その後、チャベス大統領が率いるベネズエラなど反米左派勢力との関係を強め、ラテンアメリカの左派政権諸国で構成される米州ボリーバル代替構想(ALBA)にも参加していました。

 ラテンアメリカ全体が米国のくびきから開放されるという大きな時代の変化を迎えている中で社会改革を効果的に進めるためには1期4年では短かすぎるとセラヤ大統領は考えたのでしょう。

 しかし、憲法を改正して再選するというやり方は本当に正しいのでしょうか?

 私は、結局、反米左派の台頭に危機感を持つ勢力の反撃を許す結果になってしまったと思います。


 ホンジュラスという国は日本ではなじみがないと思います。古代遺跡では西部のグアテマラ国境近くにコパンという大きなマヤの都市があり、日本人の研究者が発掘調査を行っています。また、その近くのエル・プエンテという小規模な遺跡は日本の青年海外協力隊が発掘調査と整備を行いました。

copan1.jpg
コパン遺跡の風景


 また、ラテンアメリカの最貧国のひとつとして日本が政府開発援助に力を入れてきており、農業試験場や病院などの建設と技術指導を行ってきています。

 私は3回ほど、現地を訪れました。最初の旅行でコパン遺跡が大好きになり、2度目に行ったときにはコパン遺跡とその周辺の貧しい農村の開発計画を見て回りました。

 大地主が所有する広大なタバコ畑が広がる一方で、農村は貧しく、水害の影響を受けたり、旱魃に苦しんだりする大勢の人々がいました。これに対して日本政府は、かんがい施設や水害防止施設、井戸、橋などの整備を行い、この地方の農業振興を支援したのです。

 この援助は比較的いい援助だと私は思いましたが、根本的な問題は社会構造にあり、これが変わらなければホンジュラスの貧しい人々に未来はないと思いました。ですから、社会を変えようと努力する政権の姿勢は評価できるのです。

 それだけに、こんな事態になったのは残念です。


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