ボリビアで最も美しい町スクレ

ポトシの富で栄えた街
鉱山都市ポトシからボリビアの憲法上の首都であるスクレに向かいます。
タクシーでポトシの新バスターミナルに行くと、入り口にいたおばさんに「スクレ、すぐに出るよ!」と言われました。運賃は20ボリビアーノ(330円くらい)。安いです。約4時間でスクレに到着しました。
スクレもポトシと同じようにポトシ銀山が産み出す富によって建設された街です。異なるのは、ポトシが標高4000mあるのに対しスクレは2800mと低いこと。ポトシ銀山を支配していたスペイン人植民者たちの多くが、住みやすいスクレに居を構えたことから街が発展し、建国以来ここが名実ともにボリビアの中心となっていたのです。
スクレの5月25日広場に面した政府庁舎とカテドラル(左の塔)
赤瓦の屋根が綺麗なスクレの中心部
ポトシ鉱山での疲れを癒すため、この日のホテルは、いつもより奮発して3つ星を予約しました。中南米の古い街には、植民地時代の建造物をリニューアルしたエレガントなホテルが多いのですが、この日泊まったのもそんなホテルでした。
街の中心から1ブロックほどの便利な場所にあり、外観はシンプルなスペイン風の建物ですが、ロビーに入るとかなり高級そうな雰囲気です。部屋も、3つ星ホテルとは思えないほど内装や家具など高級感がある作りでした。1泊5000円くらいでしたが、比較的安い価格でこんなホテルに当たると、やはり嬉しいです。
宿泊したホテル「ラ・メルセー」外観
ホテルの屋上からは街が一望できる
ホテルの部屋は雰囲気が良くて快適だ!
景観の美しさで群を抜く街
スクレの見どころというのは、あまりないのです。
観光スポットとしては、ボリビアの独立宣言文への調印が行われた「自由の家」や宝石の衣装を着たマリア像が安置されているカテドラル(カトリックの大聖堂)などがありますが、特に面白い場所ではありません。現在、カテドラルは修復中なのか中に入れなくなっています。宝石のマリア像は35年前に見たことがあるのですが、期待するとちょっと残念な気持ちになると思います。
では、「スクレは何がいいのか?」というと、街全体の美しさと雰囲気の良さと言えます。街の中心地区を植民地時代の建造物群が占めており、その多くがポトシの富をつぎ込んだ贅を凝らした作りになっているのです。また、歴史的な景観を守るために、街並みは条例で白に統一されており、統一感があって非常に美しいのです。写真が趣味の人にはフォトジェニックなスポットがたくさんあってたまらないでしょう。個人的な印象では、中南米に数多くあるコロニアル都市の中でも、景観の美しさでベスト5に入ると思います。
ボリビアの独立宣言が調印された「自由の家」
「自由の家」の内部。中央のガラス台の中に独立宣言文がある(レプリカ)
スクレのシンボルとなっているカテドラルの塔
街が一望できる南東の丘に行ってみることにしました。ポトシより低いとはいえ2800mの高地です。写真を撮りながら、ゆっくり坂道を登っていきました。碁盤の目状になった街路には古い建物が並んでおり、時が止まったような空間があちらこちらに見られます。
中心から離れると古い家が並ぶ街路が多くなる
南東の丘近くの街路も味がある
天国気分を味わう!
丘の上には、現在は博物館となっているラ・レコレータ修道院の建物があり、柱廊のある広場では学校帰りの子供たちが大勢遊んでいました。
長さ20mほどある柱廊からは、赤瓦の屋根が折り重なるようにして広がるスクレの街がよく見えます。暑い日だったので、何か飲みたいと思って周りを見ると、柱廊の下の部分に小さな公園のようなものがありました。よく見ると、どうやら下にあるカフェの客が利用できるテラスのようです。早速、階段を下りてカフェに行くと、コーラを注文し、テラスに並んだリクライニングチェアーに寝転がりました。
テラスは坂の途中にある上、周囲は花が咲き乱れる生垣に囲まれており、外から見られることがありません。椅子に寝転がると白い雲が浮かぶ青空が目の前に広がり、汗ばんだ肌にそよ風が気持ちよく吹いています。冷たいコーラで喉も潤い、あまりの気持ちよさにまどろんでしまいました。
ポトシの地獄から天国に来た気分でした。
南東の丘の上にある柱廊から街が一望できる
柱廊の下にあるカフェテラス
チェアに寝転がるとこんな感じに見える