ペルーのワスカラン山で、日本人の登山家が遭難
2009-07-29
ペルーアンデスの最高峰であるワスカラン山(標高6768m)で、日本人の登山家である三井孝夫さんとペルー人ガイドの2人が行方不明になったというニュースがありました。報道によると、地元山岳ガイド協会などの捜索隊が7月28日午前に2人の男性の遺体を発見したということで、これが三井さんたちである可能性もあるということです。
同協会によると、三井さんたちは現地時間25日の午後11時半ごろ、標高約6200m地点で起きた雪崩に巻き込まれたということです。また、現場の気温は氷点下25度という過酷な状況であるということです。

麓から見たワスカラン山
三井さんは68歳という高齢ですが、現地で山荘を経営するなど、ワスカランには詳しい人だったと思います。
私がワスカランに行ったのはもう20年も前になります。
日本人の若者がワスカランに登りたいが、言葉はできないし、不安があると言うので一緒について行ったのです。
現地に着いたのは10月でしたが、ワスカラン登山の可能性を現地の人に聞くと「まったく無理だ」という返事でした。
というのは、ワスカラン登山に適しているのは7月、8月の真冬の時期で、夏に向かう10月は雪崩が頻発して巻き込まれる危険が非常に高いというのです。
それでもあきらめきれないという若者と一緒に、私はワスカラン山の直下にある美しい湖ヤンガヌコまで行きました。そこからワスカランを見上げると、真っ青な空に白銀の高峰が圧倒的な迫力でそそり立っています。
その姿は優美で穏やかで、ひょっとすると登れるのではないかという思いが沸くのです。

ワスカラン山
若者はやはり登りたいようで、私が「帰る」と言ってもその場を動こうとしません。
しかたなく、私はそこにある山小屋の管理人に、彼の面倒を見てもらえないかと頼んで山を降りました。
トラックの荷台から遠ざかる若者の心細そうな姿を見ながら、私は「無理に登って死ぬなよ」とつぶやいたものです。
その後、近くのワラスという街にすむ日本人の家で知り合った登山家たちと、氷河見物に行こうということになりました。
その日本人は日本の登山隊を世話している有名な方で、「氷河なら、タクシーでそばまで行けば1時間くらいで行ってこれる」というのです。
その言葉を信じたのが間違いでした。往復1時間どころか、片道2時間以上かけたトレッキングになりました。
高度は5000m近くあるということで、非常に空気が薄く。歩くだけも大変ですし、私は貧血で倒れそうになりました。
それでも氷河は素晴らしく行った価値はありましたが・・・。

氷河の風景
この程度のトレッキングでひーひー言っているんですから、ワスカラン登山などはとても無理だと思ったものです。
山の素晴らしさは、そこに行ったものでないとわからないと思います。命の危険を冒しても行くだけの価値がそこにはあるのでしょう。
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