大学都市サラマンカへ行く! スペイン旅行記㉑
2019-06-30
サラマンカの風景
バスの切符購入は自動販売機で!?
今日はビルバオからサラマンカに移動します。
所要時間は3時間半ほどですが、いつものALSA社のバスの切符を前日に購入しました。
ところが、ここで問題がありました。人気のあるALSA社の窓口は多くのターミナルで切符を買う人の行列ができています。ここでも行列だったので並んだのですが、係員が「切符は自動販売機で買ってくれ!」と言っています。
これもよくあることなので気にせず行列に並んだままでいると、今度は窓口の人が客に何やら言っています。どうやら彼女は「自動販売機に行け」と言っているようで、切符を売ることを拒否し始めたのです。しかし、自動販売機での切符購入は操作がかなり面倒なのです。しかも、現金払いは最大で20ユーロ札しか使えないため、50ユーロ札を崩すことができません。そこで、ねばって行列に並んでいたのですが、とうとう「自動販売機だ!」と係員が叫び始め、行列の客全員が自動販売機に行く羽目になりました。
勝手がわからない外国人観光客が多く、自動販売機の前で操作を係員に教えてもらっているため、ここでも長い行列ができています。ただ、係員がいない販売機は空いていたため、すんなり切符の購入ができました。
バス会社としては、できるだけ自動販売機でクレジットカード決済にしてほしいのは理解できます。ただ、機械の操作に慣れない人や、現金を使いたい私たちのような旅行者には不便と感じてしまいます。
好天に恵まれたサラマンカ
朝11時発のバスで出発し、サラマンカのターミナルに着いたのは午後2時半ころでした。バスターミナルから街の中心部までは少し離れていて、徒歩で15分~20分程度かかります。天気のいい日で、冬の寒さが厳しいサラマンカもポカポカ陽気。湿度も低いため風がサラッとしていて歩いていても気持ちがいいです。
サラマンカは観光地としては有名ではありませんが、スペイン最古の大学があり、スペイン語の学校も多いことから、語学留学のメッカとして知られています。私も25年前に約3か月間、語学留学していました。当時と、街の様子はほとんど変わっていません。
宿泊は街の中心に近い中級ホテル。シーズンオフの平日ということもあって、ツインの部屋が一泊税込み7000円ほどと格安で泊まれたのはラッキーでした。
世界遺産に登録されているサラマンカの旧市街はコンパクトにまとまっていて、歩いても楽に見て回れます。まずは、街の中心になるマヨール広場に行きます。宿泊しているホテルが旧市街にあるため、クラシックな石造りの重厚な建築物が並ぶ通りをゆっくり歩いて、10分ほどで到着。
マヨール広場に続く道路。正面のアーチをくぐると広場。
スペインで最も美しい広場
スペインで最も美しい広場と呼ばれるのがサラマンカのマヨール広場です。マヨール広場はサラマンカだけでなくスペインの主要都市の中心部にあります。その多くは街の象徴となるような建造物で囲まれ、市民の憩いの場となっています。これまで多くのマヨール広場を見てきましたが、たしかにサラマンカのマヨール広場の全体的に調和のとれた美しさは別格です。
このマヨール広場が作られたのは18世紀のことです。スペイン・バロックのチュリゲラ様式を生み出したチュリゲラ兄弟の末弟が設計した周囲の建造物は、過剰な装飾を避けて広場全体の美的調和を求めた傑作とされています。昼間見ても美しいのですが、夜の明かりに照らされるとその幻想的な美しさが一層際立ちます。
広場の周囲にはレストランやバルが並んでおり、その前にテラス席が設けられています。暑い日だったので、テラスの席に座ってカーニャ(生ビール)を飲みながら、広場を行きかう人たちを眺めて過ごしました。こうした、くつろいだ時間を持てるのは、個人旅行の大きな利点だと思います。
マヨール広場はにぎやかだ。
夜の美しさは格別。
ホタテ貝の装飾が面白い「貝の家」
まずは、マヨール広場から伸びるにぎやかなマヨール通りを南に下がると、かつて巡礼者を守るサンティアゴ騎士団の拠点として使われた「貝の家」があります。ゴシック様式の石造りの建物の壁に数多くのホタテ貝の装飾が取り付けられているため、この名がついたのです。
ホタテ貝というのはサンティアゴ巡礼のシンボルなのですが、その理由については、目的地であるサンチャゴ・デ・コンポステーラに着いた巡礼者たちがホタテ貝を食べ、貝殻を記念に持ち帰ったなど、諸説あるようです。内部は図書館になっていますが、それ以外の部分は見学できます。
貝の家。壁にたくさんのホタテ貝の彫刻が取り付けられている。
貝の家の内部。1階は図書館になっている。
繊細で華麗な大学正面の彫刻
次はサラマンカ大学です。古い建物が並ぶ路地を入って行くので分かりにくく、少し迷った後に到着。
大学の正面にはプラテレスコ様式と呼ばれる装飾が施されたファサードがあります。プラテレスコとは銀細工のような繊細で華麗な装飾のことで、16世紀のスペインル・ネッサンス期に教会や大学のファサードなどに施されました。中でも、サラマンカ大学のファサードは装飾の繊細さと複雑さで知られています。目を引くのは、三段に分かれた彫刻のうち下段中央に彫られたカトリック両王の像でしょう。
また、この中にある複数の骸骨のうちの一つに蛙が乗っているのですが、これを見つけた者は学業が成就するという言い伝えがあります。これを探すのはかなり難しいのですが、時間があれば挑戦してみるといいと思います。ファサード前の広場にいる土産売りのおばさんに聞けば見つけられると思いますが…。
サラマンカ大学の華麗なファサード
蛙が乗った骸骨を見つけるといいことがあるかも…。
大学の広場。左奥の入り口を入ると中庭があり、語学留学生のための施設もある。
スペインのオレンジジュースは美味しい!!
この日も天気が良く、気温も比較的高かったため喉が渇きました。大学近くの道を歩いていると、学生らしき若者たちがたむろするバルがあったので入ってみました。石造りのかなり古い建物で、店の中はかなり広く、薄暗い洞窟のようです。普通のバルとは雰囲気が異なり、大学の生徒や職員などが休憩や軽食に利用している感じがします。私たちは喉が渇いていたので、カウンターでオレンジの生ジュースを注文しました。
スペインではオレンジの生ジュースがよく飲まれるのですが、バルなどには丸ごとのオレンジを絞る専用の機械が置かれています。ミキサーではなく、オレンジをゆっくりすり潰すように絞るのです。100%オレンジジュースですし、スペインのオレンジは甘いので、このジュースが本当にうまいのです。
多くのカフェやバルにあるオレンジ絞り器。オレンジが丸ごと入っている。
コロンブスが宿泊したサン・エステバン修道院
次はサン・エステバン修道院です。この修道院のファサードもプラテレスコ様式の華麗な彫刻が特徴です。これだけの見事な彫刻は他ではなかなか見られません。また、ここはコロンブスが航海術や天文学を学ぶためにサラマンカ大学通っていた際に宿泊していた場所ということです。
サン・エステバン修道院のファサード
チュリゲラ様式の祭壇
街が綺麗に見える場所へ行く
ここから南に向かい、街の前を流れるトルメス川に架かるエンリケ・エステバン橋を渡ります。一旦、街の外に出るのは、サラマンカは川の対岸から見たほうが美しいからです。橋を渡った所から川沿いに西に歩くと、川面に映るカテドラルなどの街の景色が綺麗に見える場所があります。ここから見る景色も、スペイン随一だと思います。
さらに歩くと、ローマ時代に作られた石造りのローマ橋があります。この橋は歩行者専用になっていて、風情があっていいのです。
サラマンカはきれいな街だと思う。
ローマ時代の橋を渡って市内に入る。
カテドラルの屋根に上る!
ローマ橋を渡って市内に戻ると、カテドラルに向かいます。ここのファサードもプラテレスコ様式の傑作とされていますが、これだけ彫刻を見ると、エストイ・アルト(もう十分)という感じになります。カテドラルの内部に入るには入場料が必要です。観光地ですから仕方ありませんが、ここでは内部に入らず、カテドラルの屋根の上や塔に登れるイエロニムス(IERONIMUS)に行くことにしました。
カテドラルの横にある小さな入り口から中に入ると、エレベーターで建物の上に登っていきます。最初は新カテドラル横のテラスに出て、そこからゴシック様式の見事な建築物を間近に眺めることができます。そこから、屋根の上を渡り、カテドラル内部の身廊や主祭壇を天井近くから眺めたり、鐘が吊るされた塔の内部に入ったりできるのです。
見学ルートとして整備されているわけではなく、保守作業をする人が使うような通路を伝って高い場所を移動するのでスリルがありますし、高所恐怖症の人にはきついかもしれませんが、高いところから見る景色は綺麗です。入場料は3.75ユーロですが、その価値は十分にあると思います。
カテドラルに向かう細い道
カテドラルのファサードもプラテレスコの傑作。
イエロニムスに行くと身廊上部から主祭壇を見ることができる。ちょっと怖いけど…。
カテドラル上部のテラス
抜群の眺望が楽しめる。
カテドラル上部の構造物が近くで見れる。
鐘楼にも登れる。
改めてサラマンカの街を見ると、見応えのある場所が多く、スペインの他の有名な観光地と比べても負けていない感じです。世界中から学生が集まる街ですから、比較的物価も安く、おいしい料理やタパスを出すレストランやバルも多いのです。
昔、ここに住んでいた時には、町外れの汚いアパートに住み、中心部の学校に通っていました。通学路を歩いていると、古臭くて、寒くて、暗い街だとしか思わなかったのですが、観光で来ると印象は変わるものです。
やはり、この街は観光客として来るのがいいと思いました。
教会の屋根ではコウノトリが巣を作って子育てしていた。
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