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新刊書の紹介「エルサルバドルを知るための55章」

 2010-05-17
 今日は、ラテンアメリカ関連の新刊書の紹介です。

 明石書店が刊行しているエリア・スタディーズというシリーズでは、世界の国々を個別に詳しく紹介していますが、5月10日に「エルサルバドルを知るための55章」という本が出版されました。実は、エリア・スタディーズでは、これまで中米3カ国(エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア)をまとめて紹介した本を出していましたが、今回はエルサルバドルを独立させたというわけです。

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 エルサルバドルという国は中米諸国の中でも、日本ではあまり知られていない国だと思います。めぼしい観光資源もないため、観光ガイドでもあまり取り上げられませんし、この国について書いた本が出版されることなどもまれだったと思います。

 ただ、1970年代後半から80年代初頭にかけて、エルサルバドルでは左翼ゲリラと政府軍による激しい内戦が行われ、ここからオリバー・ストーン監督の代表作である「サルバドル」という映画が生まれました。

 当時、中米のニカラグアでは左翼組織による革命政権が樹立され、グアテマラでも左翼ゲリラと政府軍の衝突が激しくなっていました。その頃の米国はカーター政権で、中米各国の内戦に積極的に介入することを控えていたのです。ところが81年にレーガン政権が誕生することになり、米国による軍事援助が強化されることが確実となったのです。あせった左翼ゲリラは、米国の影響力が強化される前に革命を成就しようと、1981年の初めからエルサルバドルの首都サンサルバドルに大攻勢を仕掛けたのです。映画は、この前後のエルサルバドルの状況を克明に描いています。

 私はこの年の4月にサンサルバドルに入りましたが、町はひどく破壊されており、夜になると少し離れた山にあるゲリラの基地に対して政府軍が攻撃を仕掛けるロケット弾などの破裂音が響いていました。

 それから10数年たって、再びサンサルバドルを訪ねたときには、内戦の傷跡はほとんどなくなっていましたが、やはり他の国とは違った緊張感が漂っているのを感じたものです。しかし、サンサルバドルに1週間ほど滞在して、市内の名所や郊外を観光してみると、なかなか面白い場所が多いことも知りました。

 この本には、そうしたエルサルバドルの歴史と共に、社会、芸術、自然、そして日本との関わりまで、詳細に書かれています。まだ、目次と中を少し見ただけですが、エルサルバドルに詳しい17人もの専門家が得意分野を執筆しており、情報量が豊富なのはもちろん、内容的にもかなり面白そうだと感じました。

 これから、ゆっくり読もうと思います。

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本当のマヤ民族の姿を知るための本が出版

 2010-03-22
「グローバル化時代を生きるマヤの人々(明石書店)」という本が最近出版されたました。
 これは大阪経済大学の桜井三枝子教授が、長期にわたる現地調査を行った結果を元に書き下ろしたもので、現代のマヤ民族が置かれた状況を克明に描き出しています。

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 マヤ民族については、テレビ番組を中心としたマスコミがいいかげんなイメージを作り上げたため、すでに滅んだ文明だとか、数少ない末裔がジャングルで原始的な生活をしているといった誤った情報が日本では流れています。

 しかし、多くのマヤの人々は、現在でも伝統的な文化を守りながら、進みゆく近代化などの社会の流れの中で苦闘しているのです。一部の勢力は、こういう伝統的な価値観を持つ人々を排除しようとする動きを見せていますが、グアテマラはマヤの国であり、その伝統と文化こそが国民にとっても重要なアイデンティティの一つといえると思います。

 最近のテレビ番組でも、マヤというと、世界滅亡の予言だとか、奇妙な儀式を行う民族といった取り上げ方が目立ちます。マヤが注目されるのは悪いことではないにしても、こうした傾向は誤解を生み出すことになりますから、あまりいいことだとは思いません。

 ですから、こういう本格的なマヤの研究書が日本で出版されることには意義があると思います。ただ、一般の人が読むにはちょっと難しい本で、価格も高いです。そこが、ちょっと残念です。

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マチュピチュ-天空の聖殿

 2009-08-04
 
 7月25日に出版された、「マチュピチュ-天空の聖殿」という新書版の本(中公新書)を読みました。

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 マチュピチュに関する本はかなり出ていますが、この本の著者は、南米アンデス地域に長年にわたって滞在して撮影を続けた写真家の高野潤さんということで、これまでにない視点と豊富な写真が特徴の本になっています。価格も1000円と安いです。

 新書版の古代遺跡の解説本というと、モノクロ写真と図版が少し入っている以外は文字ばかりで、内容も難しいし、現地の状況がつかみにくいことが多いと思います。

 しかし、この本は、写真家である著者が長年かけて撮影した豊富な写真が掲載されており、それを見ているだけでもマチュピチュの知られざる姿がわかるようになっています。

 私もマチュピチュには個人で2回行き、時間に制約されずにくまなく見たつもりですが、さすが高野さんは30回以上行っているというだけに、その見方は半端ではないです。

 また、これまでのマチュピチュ紹介本とは異なり、インカの伝承などを深く考察した上でマチュピチュの解説をしている点でも優れていると思います。

 日本のテレビのマチュピチュ紹介番組では、断片的でいいかげんな情報を元に面白おかしくドラマを作り上げることが多いですから、一度はこのような本を読んで真のインカやマチュピチュの姿に触れることが大事ではないでしょうか。

 特に、これからマチュピチュに出かける予定がある人は是非読んだほうがいと思います。

 マチュピチュの新たな魅力に取り付かれそうです。


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チャベス大統領がオバマ大統領に贈った本

 2009-04-20
 19日まで、米州首脳会議がトリニダード・トバゴで開かれていました。
 ここでオバマ大統領と会見したベネズエラのチャベス大統領はウルグアイ人作家のエドゥアルド・ガレアノ氏が書いた「The Open Veins of Latin America」という本をプレゼントしたそうです。
 これは「収奪された大地」というタイトルで日本でも出版されていて、中南米の植民地時代と超大国による収奪の歴史について詳しく書かれているということです。

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左が日本語版、右が英語版


 AFP通信によると、本がプレゼントされたというニュースのあと、アマゾンでは、英語版の売り上げランクが24時間以内に734位から2位に、スペイン語版では4万7468位から283位へと急上昇したということです。
 アメリカ人は基本的に中南米の歴史にあまり興味がないようで、米国がこれまで中南米で何をしてきたか知っている人はまれです。まあ、日本人もかつて日本軍が朝鮮半島や中国で何をしたか知らない人が多いので同じですが・・・。
 ですから、、こうした形で、アメリカ人が中南米の歴史を知り、自分たちの政府や大企業がどんなことをしてきたか知るのはいいことです。

 また、できれば、日本人にも中南米の歴史や現状を知ってほしいものです。中南米から米国や世界を見てみると、日本人には思っても見なかったようなことが発見できるかも知れません。
 この「収奪された大地」という本はちょっと高いので、とりあえずは、伊藤千尋さんの「反米大陸(集英社新書)」などを読んでみることをお勧めします。
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