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芸術都市ビルバオへ行く! スペイン旅行記⑳

 2019-06-26

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近代的なビルとクラシックなビルが共存するビルバオ

サン・セバスチャンからビルバオへバス移動


 今日は、バスク地方の主要都市であり、近年の都市創造事業の成功によって注目を浴びているビルバオに向かいます。

 サン・セバスチャンからビルバオまではバスで1時間半ほどです。バスの本数も多いため事前にチケットを購入する必要はないだろうと思ったのですが、最初にいつものALSA社の窓口に行くと、次のバスは満席と言われました。
 窓口の係員が「急いでいるなら他社のバスにしな」と言うので、隣に窓口があるPESA社に行くと、「あと5分で発車」と言います。すぐチケットを購入してプラットフォームに向かうと、待っていたバスに乗車しました。車内はほぼ満員。自由席のため私たちはそれぞれ空いていた席に離れて座りました。やはり、チケットの事前購入は必要と痛感しました。

 バスは無事にビルバオのバスターミナルに到着。現在、バスターミナルは工事中らしく屋根もない駐車場のような所にバスは停まりました。

 ターミナルがあるのは街の西側に当たるサン・マメスという地区です。近くに、地元のサッカーチームであるアスレティック・ビルバオの本拠地となっているサッカースタジアムがあります。

 ホテルはこのスタジアムのすぐそば、ターミナルからは歩いて5分ほどのところにありました。その名も、ホテル・サンマメス。スタジアムでサッカーの試合が行われる時にはファンで一杯になるでしょうが、5月上旬のこの時期は閑散としています。ペンションレベルのホテルですが、設備は整っており、部屋も清潔で悪くないです。

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ビルバオの仮バスターミナル。新しいターミナルは間もなく完成する。

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サン・マメス・スタジアム


路面電車トラムに乗る!


 ビルバオの見どころは、ビルバオ・グッゲンハイム美術館を中心とした都市創造プロジェクトによって開発された地域です。
 かつて、ビルバオは鉄鋼業や造船業が盛んで、スペイン北部の中心的な工業都市として発展しました。ところが、1980年代に入ると産業が衰退し、深刻な経済状況と社会不安を引き起こしたのです。こうした状況から街を救うために計画されたのがアートを中心とした都市創造プロジェクトであり、その先駆けとして建設されたのがグッゲンハイム美術館でした。

 サン・マメスからグッゲンハイム美術館までは歩いて行くには少し遠いのです。地下鉄やバスもありますが、最も便利なのはトラムと呼ばれる路面電車です。このトラムも都市創造の一環として地下鉄などと共に整備されたもので、電車のデザインが美術館周辺の近代的な風景にマッチしています。
 サン・マメスの停留所に行くと、ホームに切符の販売機があるので電車を待つ間に切符を購入しました。トラムの料金は1回1.5ユーロ。さらに、その切符を販売機の隣にある改札機に挿入し、使用した時間を刻印しておきます。これをしなければ切符を使い回しできそうですが、途中で切符のチェックがあった場合に無賃乗車とされて罰金が科せられるそうです。

 電車に乗って約10分でグッゲンハイム美術館近くのグッゲンハイム停留所に到着しましたが、乗り越して次のウリビタルテ(Uribitarte)で下車。この停留所のすぐそばに、スペインの著名な建築家が作った独特なデザインのスビスリ橋があります。歩行者専用のそれほど大きくない橋ですが、湾曲した支柱と吊り橋のようなワイヤーが面白いデザインになっています。


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独特なデザインのトラム

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こちらも独特なデザインのスビスリ橋


多くのオブジェが置かれているグッゲンハイム美術館


 スビスリ橋からグッゲンハイム美術館に向かうと、美術館の敷地内に様々な彫刻などの芸術作品が置かれています。その中には、六本木ヒルズの庭にも置かれている「ママン」という巨大な蜘蛛のオブジェや、日本人女性芸術家による「霧の彫刻」という、霧を使ったパフォーマンスなどがあります。

 グッゲンハイム美術館は外から見ても巨大な建造物ですが、内部も非常に広く、世界各国の芸術家による数多くの近代アートが展示されています。ヨーロッパの有名美術館の展示は、ルネッサンスから印象派にかけての絵画作品群が中心となっており、なじみがあるために見ごたえも感じます。一方、近・現代の芸術は絵画だけではなくオブジェや映像を含めて幅広く、難解な感じで、見ていてもちょっと疲れました。

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グッゲンハイム美術館は金色に輝いている

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巨大な蜘蛛のオブジェ「ママン」

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定時になると霧が吹きだす、日本人芸術家の作品「霧の彫刻」

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美術館の内部は広い

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廃墟のビルバオを思わせる展示作品


シンボルの「パピー」は檻に入っていた。


 最後に、グッゲンハイム美術館のシンボルともいえる芸術作品「パピー」を見るため、玄関横のテラスに向かいました。高さ12mの子犬の形をした骨組みに色とりどりの花を植え込んだもので、ビルバオ市の象徴ともなっています。
 しかし、この時は巨大な足場で子犬が囲まれていました。花の植え替え作業の最中だったのです。残念ですが、こうした変化も芸術の一面として見れば、面白い風景と言えます。

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檻に入れられた「パピー」。よく見えない…。


 曇り空の下で光を放つ巨大な美術館を振り返ると、アートを都市創造の核に据えるというのは素晴らしいアイデアだと感じます。この建物は「現代建築で最も称賛されるべき作品のひとつ」と評価されているそうです。なにしろ、この美術館の成功によってビルバオの名は世界に知られるようになり、サン・セバスチャンよりも多くの観光客を集めるまでになったのですから。

 古いスペインだけでなく、ビルバオのように新しいスペインの躍動を感じる街が、日本でももっと注目を集めるようになってほしいものです。

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街の中心部、ネルビオン川の岸で輝く美術館の建物


フランス国境の歴史都市オンダリビアへ行く! スペイン旅行記⑲

 2019-06-23

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オンダリビアの旧市街


フランス国境の城塞都市へ!


 宿泊先のホテルの女性経営者が「絶対に行った方がいい!」と勧めてきたのが、フランス国境に位置する歴史都市オンダリビアでした。そこで、冷たい雨が降る朝、出かけてみました。
 オンダリビア行きのバスはカテドラルの近くにあるギプスコア広場から出ています。観光には向いていない日でしたが、路線バスは観光客を中心にほぼ満員でした。

 サン・セバスチャン空港を経由して約40分でオンダリビア中心部のバス停に到着。雨の中を港があるマリーナ地区に向かいました。
 ビスケー湾の入り江に面した港には人気がほとんどなく、黒い雲が垂れ込めた寒々とした風景が広がっています。対岸にはフランスの町アンダイエが広がっており、数人の客を乗せた連絡船が海上を走っていました。少し前のテレビ番組で女優の石原さとみが乗ったボートです。

 景色はきれいですし、晴れていればフランスまで行くこともできますが、雨では長居をする気にはなりません。早々に城壁の中にある旧市街に向かいました。

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港から入り江を望む。向かいはフランス。

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オンダリビアのマリーナ地区。フランス行きのボートがある。

雰囲気のいい城と家々


 海岸側の道路から坂を上って城壁内に入ると、周囲に古い家が立ち並ぶアルマ広場があり、現在はパラドールになっているカルロス5世城もあります。

 オンダリビアは古くから周辺国にとって戦略上、重要な位置にあったため、この城塞は何度も包囲軍との戦いを経験したそうです。城としては小さく、カルドナ城のように難攻不落という感じはしませんが、苦闘の時代を経た重厚な石造りの館をよく残していて、雰囲気がいいです。

 このアルマ広場を中心に城壁内の狭い範囲に独特のデザインの古い町並みが集中しています。石畳に街路を歩くと、フォトジェニックな場所がたくさんあって楽しいです。昼近くになって雨も上がり、古い時代にタイムスリップしたかのような街歩きを存分に楽しめました。

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旧市街は城壁の中にある。

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アルマ広場と周囲の家々。左側にカルロス5世城がある。

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パラドールの中のカフェ。誰でも利用できる。

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独特のデザインの家が並ぶ

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雰囲気のいい通りが多い

レベルが高いレストランに感動


 昼はマリーナ地区にある有名な海鮮レストランに行くことにしていました。天気が悪い日なのでそんなに客はいないだろうと思っていたのですが「満席」と断られました。どうやら、団体客が予約をしていたようです。オンダリビアでは一番の有名な店ですから仕方ありません。

 そこで、店を探した結果、YOLA BERRIというレストランに入ってみました。店内には10人くらい座れる長いテーブルがいくつかあり、カウンターにピンチョスが並んでいます。
 「ここ、バルだよね…?」と思いながら、ウエイターに「定食はないの?」と聞くと、「食事なら地下に行って!」と言われました。

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たまたま入ったレストランだが、かなり有名な店だった。

 そこで階段を下りてみると、少し狭いですが、白いクロスがかかったテーブルが並ぶいい雰囲気のレストランになっていました。

 定食は飲み物とデザートの他、二つの皿を数種類の料理から選ぶようになっています。一番目の皿は、私がアスパラガス、妻はエビのサラダ、二番目の皿は二人とも定番のメルルーサを選びました。

 少しして出てきた一番目の皿を見て驚きました。高級フランス料理と言ってもおかしくないほど洒落ているのです。アスパラガスはハムで巻いて火を通し、生野菜が添えてあります。エビのサラダは生野菜とマヨネーズ和えサラダの上に焼いた手長エビが乗っています。これが、昼の定食で食べられることにちょっと感動しました。二番目の皿のメルルーサも美しい盛り付けです。味はもう文句のつけようがありません。

 最後のデザートはプリンでしたが、これも手作り感があって美味しかったです。
 これで値段は一人分税込みで16ユーロ(約2000円)ですから、スペインの昼の定食としては少し高めという程度。バスクの美食の伝統はこういうところにまで浸透しているのかと思いました。

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一番目の皿、アスパラガス

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一番目の皿、エビのサラダ

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二番目の皿、メルルーサ

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デザートのプリン

 美しい街と美味しい料理に出会い、雨の中をバスで出かけてきた甲斐がありました。旅行の醍醐味は、「知らない街で思いがけないことに出会うことだ」と改めて感じた一日でした。
 

サン・セバスチャンの有名レストランへ行く! スペイン旅行記⑱

 2019-06-22
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サン・セバスチャンのコンチャ海岸

三星レストランが多いバスク地方

 スペインの中でもサン・セバスチャンは美食の町として知られています。
 「SAN SEBASTIÁN TURISMO」によると、ミシュランの3つ星を獲得したスペインのレストラン7店のうちの3店がこの街にあるということです。最新のミシュラン2019年版では、サン・セバスチャンで星3つを獲得したレストランは2軒でしたが、サン・セバスチャン圏の1軒を含めて3軒、さらにバスク地方まで広げると4軒となっています。

 せっかくサン・セバスチャンにいるのですから星付きレストランで食事をしたいと思いました。そこで、比較的リーズナブルでカジュアルな店として選んだのが「ボデゴン・アレハンドロ」でした。
 この店は、サン・セバスチャンの伝説的な料理人で、ミシュランの7つの星を持つというマルティン・ベラサテギが最初に働き始めた所です。元々、彼の両親が経営しており、20歳で経営を引き継ぐと、25歳の時にバスク地方で初めてミシュランの星を獲得したそうです。

 現在、彼はサン・セバスチャンの近くの町で「マルティン・ベラサテギ」という3つ星レストランを経営しています。従って、現在、この店は星付きではないのですが、その美食の伝統は受け継いでいるはずです。

 事前に店のホームページで昼の席を予約し、出かけました。
 旧市街のバルが集まった「31 de Agosto」通りに店はあり、注意していないと見逃してしまいそうな感じの入り口でした。

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いつも賑やかな「31 de Agosto」通り

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ボデゴン・アレハンドロの入り口


上品でリーズナブルな料理を楽しむ


 入り口の階段を下りて行くと、照明を落とし、落ち着いた雰囲気の空間になっています。ただ、思っていたよりカジュアルで、テーブルにはクロスもないし、客たちもかなりラフな感じです。

 メニューにはコースとアラカルトがありますが、少量の料理を数多く味見できるテイスティングコースを頼みました。ワインは、やはりリオハの赤のハーフボトルにしました。

 コースの内容を記したお品書きをもらいましたが、いろんな食材名が書かれていてよくわかりません。
 前菜として、白いムースやレモンとベルベレッチョ(貝の一種)のジュースと書いてあるスープ、茶わん蒸しのようなものと共に、イワシの身の酢漬けに胡椒を加えたものが出てきました。どれもおいしく、日本人の口にも合う味付けに感じます。

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ワインはリオハの赤。手前の紙がお品書き。

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最初にイワシの酢漬けなど色々出てきます。

 次に、低温調理の卵にエメンタルチーズのソースをかけたものが出てきました。まるで温泉卵のようですが、高級な料理っぽくなる味付けはさすがという感じです。

 次は魚料理で、鉄板で焼いたメルルーサに柑橘系のソースをかけてあります。このメルルーサは肉厚ですが驚くほど柔らかく、身の甘味と酸味のあるソースが絶妙にマッチしておいしかったです。同じメルルーサでもパラドールのレストランでは味がぼやけていただけに、さすが有名店という感じです。

 次は肉料理で、プレサ・イベリカという、イベリコ豚の前足の付け根にある霜降り肉を低温でローストしたものに岩塩をかけています。付け合わせはジャガイモのピューレです。
 これが豚?という感じの肉で、柔らかくて、深い味がします。そこに、岩塩の塩気がちょうどいい感じでした。

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洋風温泉卵?

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メルルーサの柑橘ソースかけ

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プレサ・イベリカのロースト

 後は、2種類のデザートが出てきました。最初はトリッハと呼ばれる厚切りのフレンチトーストにカラメルを絡め、アイスクリームを添えてあります。次は、イチゴにマスカルポーネクリームを添えた華やかな感じのデザートでした。この辺は、予想通りのおいしさと言えました。
 最後は、コーヒーと焼き菓子で締めですが、この焼き菓子が入った木の容器がしゃれていました。
 これで二人合わせて、税込み123ユーロ(約1万6000円)でした。近くにあった一つ星の店の場合は、テイスティングコース一人分だけで100ユーロを越えていましたから、かなりリーズナブルではないかと思います。

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フレンチトーストのアイスクリーム添え

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イチゴのマスカルポーネクリーム添え

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コーヒーと焼き菓子

サンセバスチャンを一望するモンテ・ウルグルに登る


 天気のいい日だったので、昼食後、旧市街を見下ろすモタ城という要塞がある丘、モンテ・ウルグルに登りました。
 山頂にはキリスト像が立っており、明るい太陽の下で多くの人が春の一日を楽しんでいます。ここからは青いコンチャ湾とその先にコンチャ海岸が見えます。そして、赤瓦の屋根が続く旧市街と南欧の建物が連なるサン・セバスチャンの光景が本当に美しいです。
 天気が悪い日が多かったこともあり、この日の気持ちよさは格別でした。

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モタ城から見たコンチャ湾

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サン・セバスチャンの街並みが美しい

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山頂にキリスト像が立つモンテ・ウルグル


美食の都サン・セバスチャンに行く! スペイン旅行記⑰

 2019-06-20
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サン・セバスチャンの海岸

高速鉄道でサン・セバスチャン


 今日はバルセロナからサン・セバスチャンに移動します。

 サンツ駅から朝7時半の高速列車で出発し、サン・セバスチャン到着は午後1時半ころになります。
 ところで、スペインでは複数の言語が使われています。バルセロナなどのカタルーニャ地方ではスペイン語と共にカタルーニャ語が使われていますが、サン・セバスチャンが属するバスク地方ではバスク語が使われています。このため、街名などの表記がバスク語になっていることも多いのです。サン・セバスチャンはバスク語でドノスティア(Donostia)と呼ばれます。意味はスペイン語と同じでキリスト教の聖人、聖セバスティアンのことです。

 列車はほぼ時間通りにサン・セバスチャンに到着。駅舎を出て街の中心部に向かって歩くと、すぐにウルメア川にかかるクラシックなマリア・クリスティーナ橋に出ます。両端には馬に乗った人物の彫像が乗った大きな塔があり、橋からはヨーロッパの古都らしい落ち着きのある美しい街を眺めることができます。

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サン・セバスチャンに到着した列車。

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立派な塔を持つクラシックな橋

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橋から見たウルメア川。

コインランドリーが高い!


 橋からまっすぐ西に移動するとカテドラルにぶつかります。予約したホテルはこの近くに位置していました。日本のゴールデンウィークの時期になっていたため、部屋が空いているホテルが少なく、料金もかなり高くなっていました。最近、日本のテレビで何度も紹介されているサン・セバスチャンですから、日本人旅行客がすごく多いのです。

 年配の女性が経営するアットホームなホテルでした。部屋などは安宿と言っていいレベルですが、3つ星のため設備が整っているのが救いでした。

 ホテルに荷物を置くと、食事と洗濯のため中心街に出かけました。ネットでコインランドリー(lavandería autoservicio)の場所を調べたところ、バルが集まっている地区にあったのです。

 街は昼食や飲み歩きを楽しむ人たちで混雑していました。そんな路地に小さなコインランドリーを見つけ、洗濯機に洗濯物を放り込みました。店によって違うのですが、ここの洗濯機は洗剤を別途投入する必要がないタイプでした。その代わり料金が高く、洗濯だけで7ユーロ(約900円)も取ります。バルセロナでは3.5ユーロ(洗濯量によって変わる)でした。場所柄、観光客相手の価格なのでしょう。

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雰囲気のいい中心街の道。

バルの料金計算はいい加減だ!


 洗濯機を回している間、ピンチョスを楽しむことにしました。最初に行ったのは、テレビ番組で女優の米倉涼子が行ったというバルでした。ここは店の中に日本人観光客が大勢いて、バーテンダーの表情も冴えない感じでした。

 そこで、向かいにある比較的空いていたバルに入りました。カウンターでカーニャ(生ビール)を頼み、目の前に並ぶピンチョスから好きなものを選んで皿に取ります。ところが、見ていると、どうもバルセロナとは会計方法が違う感じなのです。

 そこで「料金はどうやって計算するの?」と若いバーテンダーに聞いてみました。すると、「オレが見ているから自由に食べていいよ」と言うのです。
 「バルセロナでは串の数で計算したけど…大丈夫?」と聞くと、「バルセロナとは違う。大丈夫だ!」と言います。

 「本当かな?」と思いましたが、そう言うのならと好きなものを食べ「お勘定!」と言いました。
 すると彼は「えー…」と考えています。やっぱり見てない感じです。そこで、私が「4つ」と言うと、彼は笑顔になって飲み物を含めた計算をしてくれました。
 いい加減な感じですが、これがスペインですから気にしないことです。

 次の店でも、バーテンに計算方法を聞くと「オレが見てる」と同じことを言います。そこで、わざと遠くにあるピンチョを取ったり、トルティーヤの調理を頼んだりしました。そして勘定を頼むと、「5ユーロ」と言うのです。
 5ユーロでは安くても飲み物二杯とピンチョ1つくらいです。私たちは飲み物二杯とピンチョ二つにタパスを一つを頼んでいましたから、ここのバーテンもしっかり見てないようです。まあ、それでも店は繁盛しているのですからいいのだと思います。

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昼から客でにぎわうバル

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ピンチョスがカウンターに並ぶが取りづらい。

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おいしそうなピンチョスが多い

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魚介類が多くて、日本人にも合う味付けだった。

 それにしても、人気のバルが集まった裏通りの昼の賑わいはすごいです。多くのバルが昼の酒とピンチョスを楽しむ人であふれ、通りはそぞろ歩きを楽しむ人や店先に置かれたテーブルで酒を飲みながら談笑する人々でごった返しています。

 サン・セバスチャンは美食の町と言われていますが、それよりも安上がりなバルで酒とつまみを楽しむのが好きな人には、こたえられない町だと感じました。

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昼を楽しむ大勢の人であふれる通り。


カルドナのパラドールに行く! スペイン旅行記⑯

 2019-06-15
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パラドール・デ・カルドナ


一度は泊まりたいパラドール


 今日は、バルセロナの北にあるカルドナという町にあるパラドールに行きます。
パラドールというのは、中世の古城や修道院などを利用した宿泊施設で、スペイン全土に100カ所近くあります。

 その多くが中世の雰囲気を残した施設で、サービスも高級ホテル並みになっています。価格はパラドールの場所やシーズン、曜日によってまちまちですが、90ユーロから150ユーロくらいと比較的リーズナブル。スペインに旅行するなら是非一度は泊まりたい所です。

 今回の旅行でカルドナを選んだ一番の理由は、山の上にある雰囲気のいい古城だったこととです。以前の旅行で泊まったチンチョンのパラドールは修道院でした。こちらも悪くはないのですが、城の方がより歴史を感じられるのではないかと思ったのです。

 カルドナ行きのバスは平日は1日に4本ほどあるのですが、チェックインにちょうどいいのはバルセロナ11時発の便です。このバスは城のある山のふもとに午後1時過ぎに着きます。

 バルセロナのバスターミナルでいつものALSA社のバスに乗りました。平日のためか、乗客は十人もいませんでした。カルドナまでは車で1時間半ほどなのですが、このバスは途中の町をいちいち経由していくため2時間以上かかります。

 途中、マンレサという街のバスターミナルでは乗客がかなり増えました。バルセロナからマンレサまではRENFE近郊線の列車があります。

 カルドナに近づくと、山の上にそびえる古城が見えました。上の写真の通り、質素ですが、いかにも中世の古城という感じです。

 カルドナでバスを降りると、目の前の山の上に城の一部が見えます。ここからは、城に続く車道を歩いて登って行かなくてはなりません。車道は曲がりくねっていますから、かなり距離があり、歩くのは大変でした。重い荷物を抱えていますから、ゆっくり歩き、約30分ほどかけて、ようやくパラドールの玄関に到着しました。

 後から分かったのですが、徒歩の場合は石段の登り口が車道とは反対の所にあります。こちらを使うと距離も短いし、城の雰囲気を味わいながら、楽に登って行けます。

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町の入り口。道の右にカルドナの停留所がある。

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山の上に城が見える。青いバスにバルセロナから乗ってきた。

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車道を上っていくのは疲れる!

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ようやくパラドールの入り口に到着!

中世の雰囲気に溢れた城内


 チェックインには少し早かったのですが、すぐに部屋に入ることができました。部屋に行く途中に通る城の中庭や石造りの通路など、古い時代の雰囲気に溢れています。
 
 部屋は質素ですが、広めで、綺麗です。高級ホテルとはいきませんが、居心地は悪くありません。城らしい、小さめの窓が一つあり、ここからカルドナの美しい田園風景が一望できます。

 城内のバルでウエルカムドリンクが飲めるというので行ってみました。宿泊者でなくても利用できるカジュアルなバルです。平日のせいでしょう客は誰もいません。静かな昼下がりのバルでビールを飲みながらくつろぐことができました。

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城の中庭。

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歴史を感じさせる場所が多い。

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要塞のような城だ。

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部屋はこんな感じ。


夜はレストランで料理を堪能


 パラドールがある山の下には塩の生産で有名なカルドナの町があります。小さな町ですが、バルやレストランもそれなりにあります。ただ、夜になって町まで下りて食事をするのは大変なので、宿泊客のほとんどはパラドールのレストランを利用するようです。

 8時ころになって、私たちもレストランに行きました。古城のダイニングですから、高級感があって雰囲気もいいです。驚いたのは、日本人らしき客が多かったことです。このパラドールは日本人のツアー客に好評なのでしょう。

 まずは、リオハの赤ワインを注文。ワインと一緒に定番のオリーブの実と小さなカップのクリームが出てきました。少し甘めのカップクリームがおいしくて、料理への期待を高めてくれます。

 前菜として、クロケッタ(スペインのコロッケ)とツナとトマトのサラダ。料理は普通な感じですが、パンはおいしいです。
 メインに、私はステーキ(300g)、妻はメルルーサ(タラの一種)を選択しました。ステーキはシンプルな塩味ですが歯ごたえがありすぎという感じ。メルルーサは元々淡白な白身ですがソースの味が物足りない。付け合わせのドライトマトの塩気がちょうどいい感じでした。
 これでお会計は50ユーロ(約6500円)ですから、安いと思いますが、いまいちかな…。

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ラグジュアリーなレストラン

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ワインはいろいろあったけど、やはりリオハ!

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ステーキはちょっと固い。

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メルルーサは美味しい魚だけれど…。

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城から見るカルドナの夜景が美しい。

アミーゴ・デ・パラドールはお得!


 翌朝、起きてすぐ窓の外をみると、霧が周囲を覆っています。こういう時は、写真で見た、霧の上に浮かび上がる幻想的なカルドナの古城の風景が見えるはずです。しかし、その城の中にいたのでは見えるはずがありません。窓から、霧に包まれた田園風景を見ているうちに、太陽が出て霧を追い払ってしまいました。

 朝食のため、食堂に降りました。
 ここの朝食は税込みで2500円ほどするのですが、アミーゴ・デ・パラドールという会員になると、最初の宿泊については朝食が無料(二人で泊まると二人分)になるのです。会員になるメリットは他にもあるのですが、これが一番大きいです。

 会員になるには、公式Webで登録するだけでOKです。ただ、朝食を無料にするには、会員登録をした後、宿泊予約の際に、手続きをしておく必要があります。

 この朝食は値段が高いだけあって豪華です。バイキング方式で、生ハム、スモークサーモン、トルティーヤ、チーズなどと共に、果物やデザートもたっぷりいただきました。

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朝霧に包まれた田園が幻想的!

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朝食は豪華だった。

帰路は鉄道を利用してみよう!


 ここで頭を悩ましていた問題があります。

 バルセロナへの一番バスは、朝早い時間に出てしまい、昼は2時50分ころになってしまいます。チェックアウトは12時ですから、約3時間待たなくてはなりません。時間をかけてカルドナの町を散策する方法もあるのですが、荷物をパラドールに預けると、一旦町に降りて、また山の上まで往復しなくてはなりません。

 「面倒だな…」と思いながら、朝の散歩に町まで下りてみました。すると、ツーリストインフォメーションがあったので、いろいろと聞くために入ってみました。ちなみに、パラドールにもインフォメーションがあるのですが、役に立つ情報は得られませんでした。

 受付の女性にカルドナの見どころを聞きくついでに、「マンレサ行きのバスはあるの?」と聞いてみました。すると、「もちろん」と言いながら、バスの時刻表をくれたのです。それを見ると、バルセロナ行きのバスは少ないのですが、マンレサ行きは結構あります。マンレサで列車に乗れば、もっと早くバルセロナに戻れそうです。

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城から町に下りる近道がある。

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カルドナの町。手前の道路沿いにインフォメーションがある。

マンレサで近郊線の列車に乗る!


 12時前にチェックアウトし、山の下のバス停で待ちました。12時40分頃にALSA社のバスがやって来ました。バルセロナ行きの大型バスとは違う路線バスでした。運転手に「マンレサの鉄道駅に行きたいんだけど…」と言うと、「それなら、マンレサの最初のバス停で降りな」と言います。

 1時間ほどでマンレサに到着。言われた通り最初のバス停で降りました。このバスは、その先のバスターミナルが終点です。

 降りた所にいた人に駅の場所を聞くと「あっちの方だ。7~8分で着くよ」と指差しながら言います。教えられた方に歩いて行くと河があり、橋を渡った所に駅舎が見えました。駅舎の横からホームに向かうと、係員らしき男性が「先に切符を買って」と言います。
 駅舎の横の仮設倉庫みたいな場所に切符の自動販売機がありました。切符を買うと、係員が「切符をここに入れて」と、ホームの横にある四角い箱を指差します、これが改札器でした。切符を入れると、チェック済みになって出てきます。

 ホームにはすでに近郊線の列車が待っていました。乗車すると間もなく発車。グッドタイミングでした。

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マンレサの市内

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町外れにある駅。

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近郊線の列車。


 バスと違って各駅停車の列車はかなりのんびりと走ります。ただ、バスよりも車窓の景色が綺麗なのです。右側の車窓からは、バルセロナ近郊の人気景勝地モンセラートが見えます。キリスト教の聖地となっている、ノコギリのようなギザギザの山が連なる絶景です。この景色が見れたのもラッキーでした。

 列車はバルセロナの中心部に向けて走ります。この日、私たちはバルセロナの中央駅であるサンツの前にあるホテルを予約していました。バスだと、ターミナルから地下鉄か鉄道でサンツまで移動する必要があるのですが、近郊線は終点がサンツです。駅を出ると、数分でホテルに到着。「マンレサ経由で戻ってよかった」と思いました。

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夕方のサンツ駅前。ホテルの窓から撮影した。



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